吉武英行 五感の旅

ネットの悪意にあきれる

2022年4月25日
ネット上にあふれる悪意がなくなることを願う(写真はイメージ)

 知人である中国地方の旅館の女将(おかみ)から大きな封書が届いた。何かと思えば、ホームページ(HP)のコピーが封入されていた。女将いわく、HPに寄せられた書き込みに納得できず、このページの管理人に文句を言ったところ、理解を示してくれて書き込みを削除してくれたのですが、という次第。

 個人が趣味で運営しているらしいのだが、書き込みを通じて旅館の順位を付けるという趣旨のものだ。その中にある口コミ掲示板。そこに、当該旅館について「ここの温泉は温泉じゃない。健康ランドレベル。特別室に泊まったが掃除も行き届いていない。値段に見合ってない。高級旅館と名乗っていることに本当の高級旅館Hに迷惑」という書き込みがあった。

 同じ温泉地の「H」を比較に出しているのも奇妙な話で、こういうのはどうも同業者の投書に思えてしまう。誰もが匿名で口コミ上のテロリストになれる掲示板はけんのんなものだ。今回の女将の気持ちも察して余りある。ベストテンごっこは筆者も好きだが、投票者明記でなければフェアじゃない。

 しかしながら、悪評を故意に立てるのは身内、同業者が多いというのは世間的常識。こういう悪評に勝つには、やはり信頼できるところから出てくる批評に謙虚に耳を傾けて、ネット上のテロリストは無視するしかない。騒げば騒ぐほどテロリストの思うツボだ。

 だから、心を痛めている女将にはこう言うしかない。「憎しみを叫んでいる人には無視という手段しかない」と。そして「そう言う声を出す人の何百倍も味方がいると信じる事」と。往々にして「愛」の叫びが憎悪の雑音にかき消されることも多いが、早く、そういう悪意の時代が終わってほしい。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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