吉武英行 五感の旅

プリフィクス制の採用と提供法のギャップ

2022年5月16日
料理の提供法も“味”の一つ

 長野県のU温泉でのこと。その旅館は夕食時に料理を選べるのが特長だ。刺し身、焼き物、メインの3品をそれぞれ複数の料理の中から選べるというから、かなりのもの。電話予約で申し込むと、運よく部屋は空いていた。

 料理はやはり3品を選ぶことになった。メイン料理は4種から、焼き物と刺し身はそれぞれ3種から選ぶ。2人客でそれぞれ違うものを選んでもいいとのこと。料理のラインアップを電話で言ってもらい、一つずつ選んだが、以外にスムーズに決められた。メインは「牛のしゃぶしゃぶ」「牛ステーキ」「海鮮焼」「カニのしゃぶしゃぶ」から選ぶという趣向。旅館スタッフがメニューを復唱して確認し、予約が完了した。

 古い建物を民芸調にリニューアルした旅館は、15室ほどのこぢんまりしたもの。蔵を利用した客室などがあり雰囲気はいい。1泊2食付き、1万5千円。夕食は部屋出しとなる。

 楽しみにしていた夕食。料理がテーブルにセットされ、部屋係の男子はにこやかで感じも良い。筆者が頼んだメインは牛しゃぶ。鍋と肉が用意されたが、スタッフは「肉が乾かないうちにどうぞ」とすぐに鍋に火をつけてしまう。次いで刺し身が来て、さらに天ぷらも。「温かいうちに天ぷらを食べてくださいね」と言われても、これではあまりにせわしない。「次は自慢の手打ちそばを持ってきます」と言うので、「少し間をおいて持ってきてね」とやんわり言ったら、次は待てど暮らせど来ない。業を煮やして電話をすると故障。仕方なく部屋を出て、直接次の料理をお願いした。

 料理コンセプトはいいのだが、提供法に気配りが見えないのが惜しい。実は、同行者の刺し身は予約したものと違った。部屋係には一応伝えたが、チェックアウト時には、主人からも女将(おかみ)からも何の言及もなし。こちらの苦情は全く届いていないということ。これもちょっと問題だ。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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