吉武英行 五感の旅

駅前は閑散、でも清里は美しい

2022年5月30日
風情がありクラシックな雰囲気を醸す清泉寮

 今年も山梨県清里の清泉寮を訪ねてみた。筆者がまだホテルマン現役の頃、新館の暖炉付きの部屋で、快適な高原ホテル生活を堪能したことを思い出す。知り合いのスタッフに頼んで古い建物の本館の暖炉付きの部屋を見せてもらうことに。

 本館は1957年に建築されたそうだ。木造の建物はさすがに古びているが、クラシックな雰囲気があってカッコイイ。部屋は暖炉付きのスイート。リビングルームの真ん中に暖炉がドーンとあり、その前にソファセット。簡易キッチン、冷蔵庫、グラスや皿などが一通りそろった食器棚が置かれている。炊飯器もあり、ツインベッド、バストイレという構成だ。

 いろんなところが経年劣化しているが、今どきの建物にはない雰囲気、風情がある。食事は新館のダイニングでメイン料理を選び、前菜とデザートはビュッフェ形式。風呂は同じく新館にある大浴場。ちょっとした移動距離がある。そういう利便性のマイナスを差し引いても、これだけの部屋が2人仕様で1人1万1800円(もちろん2食付き)というのはリーズナブルだと思う。この部屋を指定する固定客が多いらしいが、その気持ちがわかるような気がする。

 その後、テレビで“閑古鳥の観光地”として清里が取り上げられていた。アンノン族全盛期からバブル期までの異常な盛り上がりと人気のない駅前の映像を見ると感慨深い。清泉寮に行った時も駅前は確かに閑散としていた。でも、駅から少しの距離にある「萌木の里」という林の中にレストラン、物販、ホテルなどが点在するリゾートゾーンのような場所はそこそこにぎわっていた。

 外から見ただけだが、先日お亡くなりになった柳生博さんの「八ケ岳倶楽部」もかなりにぎわっていた。首都圏からの距離も適度だから、またお客も増えていくと思う。裏手でカモシカが草をはんでいた。いいところだ。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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