吉武英行 五感の旅

常連、リピート客が「良いホテル」の証明

2022年6月6日
ホテルの良しあしはリピート客の存在で決まる

 良いホテルとは何か。一言で表現するなら「リピーターの多いところ」と言えると思う。

 一度利用したら、また行きたくなるホテルということ。ブランド名や施設の豪華さ、話題性で初めてのお客を獲得することはできるが、そこで楽しい時間を提供できればリピート率が高まり、その中から常連客が生まれる。

 国内のホテル、リゾートホテルの多くで、筆者は常連客の利用を見かけた。彼らは自然体で、いつもの習慣という趣でレストランを訪れ、静かに食事をする。彼らの好みを熟知したスタッフは親しさの中にも節度を保ちながら温かくもてなす。このような光景に、筆者はホテルの格式と魅力を感じた。

 一方、話題性で集まったいちげんのお客ばかりのホテルは、施設がどれほど豪華でも高級とは言えない。南紀白浜に新婚カップルの宿泊が大多数を占めるホテルがあるが、ロビーは駅の待合室、朝食時のレストランは観光地といった様相。高級ホテル初体験のカップルを相手にしているスタッフもレベルが高いわけではない。そこはリピート率も低いという。

 ホテルの雰囲気は施設やスタッフとともに、お客によってつくられる。上質の常連客の存在が館内全体に落ち着いた雰囲気を醸し出し、初めて訪れたお客にも安心感を与え、充実した空間となる。常連客の獲得には、もちろん心地よい空間を提供することが一番だが、リピートしやすい環境をつくることも一案と思う。

 例えば、1人暮らしの女性実業家向けにホテル朝食の月間パスなどを販売し、日々の栄養バランスを考慮したビュッフェ朝食を提供する。それが高級ビジネスマン、ウーマンの需要を促し、リピーターを生むことにつながる可能性は大である。

 常連客はそのホテルを愛し、見続けている家族のようなもの。常連客の存在を質の向上、経営の安定化につなげてほしい。

 (ホテル、旅館プロデューサー)



サイト内検索