澪標 ―みおつくし―

自律的組織と存在目的(経営理念)の明確化

釡中 利仁
公認会計士・税理士
2019年9月23日

 前回のコラムでは、中小企業経営者の課題から「働き方改革」と「AI技術の発展」について寄稿しました。今回は中小企業の持続的な発展のために、自律的な判断力を持つ組織について寄稿します。かくいう私も零細ながら創業6年目、6人のメンバーにお勤めいただいている中小企業経営者の一人です。弊所自身の課題の顕在化のために執筆している側面もございますので私見としてお読みください。

 自律的な判断力を持つ組織を考えるために、自律を調べてみました。広辞苑によると「(1)自分の行為を主体的に規制すること。外部からの支配や制御から脱して、自身の立てた規範に従って行動すること。」(*1)とあります。これを踏まえて考えると、自律的な判断力を持つ組織は、メンバー各人が主体的な判断力を持って行動する組織と考えることができます。

 ここで、主体性をもったメンバー各人が支配や制御から脱して行動を行っていれば、そのままで組織は崩壊するのではないかと疑問がわきます。その疑問に対しての解決策は組織の存在目的を明確化してそれに共感を持てるメンバーが集えば解決でき、持続的な成長へむかうと考えます。

 「ティール組織」という組織を聞いたことがある方も多いと思います。ラルーの同名の著書で日本でも有名です。ティールは組織の発展の一段階であり進化型組織と訳されています(ティールは色を意味しており青緑色の一種です)。ティール(進化型)とは、「変化の激しい時代における生命体的組織の時代へ。自主経営、全体性、存在目的を重視する独自の慣行」(*2)とされています。

 存在目的が明確化されてメンバーが賛同、共感するような組織となれば主体的な判断をメンバー各人が行っても持続的な成長へ向かうと考えます。目的とは「(1)成し遂げようとする目指す事柄。行為の目指すところ。意図している事柄(2)意志によってその実現が欲求され、行為の目標として行為を規定し、方向付けるもの。」(*3)です。

 なぜ組織のメンバーとしてこれをするのか。こうありたいというメンバー自身の行動の原動力になるものとも言えます。中小企業組織における存在目的は「経営理念」とも言われます。以上をまとめると中小企業の持続的な発展のために、自律的な判断力を持つ組織が必要であり、これを達成するためには、メンバーが共感できる目的、経営理念を明確化することが重要であります。

 次回のコラムは年末ごろを予定しております。組織の存在目的と経営理念を中心に寄稿を予定しております。

 (大阪市中央区、かまなか・としひと)

 *1*3=岩波書店「広辞苑」10050P(*1)19475P(*3)*2=2018年英治出版、フレデリック・ラルー著、鈴木立哉訳、日本語版付録



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