澪標 ―みおつくし―

双子でもお出かけしやすい社会へ

中原 美智子
株式会社ふたごじてんしゃ代表取締役、社会福祉士
2020年10月19日

 長男誕生から7年後に双子を出産し、3人の子育て経験から『ふたごじてんしゃ?』が生まれました。紆余(うよ)曲折ありながらも多くの方の応援のおかげで、製品化することができました。私がこれまで歩んできた道と、これから目指す未来「命の誕生を当たり前に喜べる社会」について、このコラムでお話ししていきたいと思います。最後までどうぞよろしくお願いします。

 2011年から、わが家の双子の息子を乗せられる自転車が欲しくて活動を開始し、14年には中原製ふたごじてんしゃ試作機が完成しました。量産化に向けて、製造を引き受けてくれるメーカー探しを新たにスタートさせ、16年にOGK技研との出会いがあり、株式会社ふたごじてんしゃを設立しました。株式会社の設立目的は、双子や年子であっても安心して幼稚園の送迎ができる自転車があるんだ、と伝えることでニーズの顕在化を図るためでした。

 自転車移動を諦めて行動範囲や選択肢が狭くなっているママや、自転車の前後に子どもを乗せて荷物をいっぱい抱えながら頑張り続けるママへ、自転車のデザインが変わるだけで、こんなに私たちの未来は明るいんだというメッセージを伝えたかったのです。子どもの数が増えることで、負担感ばかりが増すのではなく、楽しいお出かけだってかなうんだと伝えたかったのです。

 また、これまでそのようなニーズがあるかどうかわからないながらも、メーカーとなって引き受けていただいたOGK技研の当時専務だった木村社長にも、本当に必要としてくれている人の顔や声を見てもらい続けることで、新しいデザインにチャレンジするモチベーションにしてもらいたいと思っていました。

 18年にようやくふたごじてんしゃ®が販売開始され、これまで無理をしながら行っていた双子の自転車送迎が、より安心・安全に送迎できる家庭が増えました。ふたごじてんしゃ®が利用できるようになって、幼稚園や保育園の選択肢が増えたと教えてくれたママもいました。熱が出た子を歩かせて病院へ行っていたけれど、今ではふたごじてんしゃ®に乗せて連れて行くことができるようになったことや、子どもに他のお友達のようにママと一緒に自転車に乗りたいとせがまれ困っていたけれど、その願いをかなえてやることができましたとのうれしい声もいただきました。

 このような声に触れるたび、ひとりのママが自転車というツールで自分らしい子育てや生き方を創っているんだと想像すると、熱いものがこみあがってくるのです。「双子だから」と諦めるのではなく、自分のやり方で、望む場所へ、子どもの願いをかなえることができた。このような体験は、いろんなことを諦めることが多い双子ママにとって大きな自信をつけてくれると思います。

 そんな喜びいっぱいの『ふたごじてんしゃ®』ですが、ここまで来るのに「もう続けられないかもしれない」と何度思ったか知れません。それでもなお、なぜ諦めずに進んでこられたのか、振り返りながらお話ししたいと思います。

 (兵庫県尼崎市、なかはら・みちこ)

 【プロフィル】3人の男の子の母(次男・三男が双子)。日本で唯一の6歳未満が2人同乗可能な三輪自転車『ふたごじてんしゃ®』を発案し、企画・開発・販売活動を実施するため株式会社を設立。また、日本最大のオンライン多胎サークルを実現すべく『ふたごのまち』構想を現在進行中で、こちらはNPO法人つなげるで活動を実施している。双子、三つ子などの多胎でも、自分らしい子育てができる環境づくりを実現するため、幅広く活動中。


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