澪標 ―みおつくし―

激変する環境変化の中、会社を強くするには

西山 裕子
MiLIFE(ミライフ)代表
マーケティングPRプロデューサー
2020年11月23日

 御堂筋の街路樹を、イルミネーションが飾る時期になった。梅田から難波まで樹々の色が華やかに変わり、ワクワクした気分になる。しかし今年は、全く違う年だ。世の中が動かない空白期間があり、変化も多く、一年がとても早く感じる。

 私は現在、企業向けにマーケティングや広報の支援をしている。創業間もないスタートアップや中小企業の経営者と、ブランド力や知名度を上げるにはどうすれば良いか、日々考え、汗をかいて、活動している。もともとは会社員として、広告宣伝や新製品開発を担当していた。2012年に独立し、さまざまな企業のお手伝いを外部の立場で行っている。

 実は中小企業の9割は、専任のマーケティングや広報部がない。営業や制作、総務部などが兼任で担当している。しかし、新製品を出したい、会社の強みを強化したい、メディアに出たい、そんな時はマーケティングや広報の機能が必要だ。専門性の高い人材採用は難しく、アウトソーシングが一般的になり、相談は増えている。複数の企業を担当して、得られる知見も多い。外部だから広い視野で客観的に言えることもあり、この働き方は気に入っている。

 さて、新型コロナウイルスの影響はリーマンショック以上の危機と言われ、春頃は悲観論でいっぱいだった。しかし落ち着いてくると、この変化を機会にする動きも見えてきた。オンライン会議システムのZoomや、動画配信のネットフリックスは、会員が激増している。私自身、今年4月以降これらを初めて使い、有料会員として今や毎日利用している。

 関西でも、コロナの影響でビジネスを伸ばす企業がある。私は関西のスタートアップ支援を行う「NPO法人生態会」の運営や広報にも関わっているが、2020年5月の調査によると、40%の関西スタートアップが、コロナの影響でビジネスが「非常に良くなる」「良くなる」と答えている。関東の32%、他地域の34%より楽観的だ。ITやアプリサービス、巣ごもり需要に応える在宅製品、ヘルスケアサービスは、むしろ成長している。今までは東京の顧客に会うために、時間も費用もかけていたが、オンライン商談で受注でき、効率が上がったという話も聞く。変化を追い風に、世界的に利用される製品やサービスを生むスタートアップが、関西から登場することを期待する。

 ある中小企業の経営者からは、「事業は安定しているが、コロナ禍で危機感を覚え、会社の在り方を見直したい」と相談があった。そこで、社員や顧客に、会社の強みをあらためて聞いている。在宅勤務で直接会う機会が減っても、本質的なつながりや他にない価値が、かえって見えてくるものだ。

 御堂筋イルミネーションには、明るく元気にと願いをこめた、折り鶴のモチーフツリーがある。注意しないと、見逃してしまう。変化の機会も意識しないと、なかなか探せないようだ。

 (大阪市北区、にしやま・ひろこ)

 【プロフィル】1966年生まれ。P&Gジャパンを経て、ITベンチャーの立ち上げに参加。2012年に独立し、企業向けにマーケティングやPRの支援を行う。関西広報100研究会代表、NPO法人生態会事務局長として、関西の中小企業やスタートアップを応援している。大阪大卒。同志社大ビジネススクール卒(経営学修士)。


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