おおさか未来予想図

 多くの外国人観光客(インバウンド)でにぎわった2017年の大阪。18年は国際博覧会(万博)誘致が本格化し、カジノを含む統合型リゾート(IR)や大阪都構想の賛否が問われる。各地で進む再開発やホテル建設の槌音(つちおと)は大阪の福音となるか。大阪で起こる未来への動きから予想図を描く。第1部は「先端技術のまち」をテーマに、ロボットや人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、情報通信技術(ICT)への取り組みを紹介する。

第2部「万博誘致の行方」(4)

レガシー(遺産)
2018年4月21日

「次代に何を」展望描け

約半世紀ぶりに一般公開された「太陽の塔」内部の「生命の樹」=大阪府吹田市

 大阪で開催された博覧会のレガシーとして、象徴的な二つのタワーがある。太陽の塔と通天閣だ。太陽の塔は1970年の日本万国博覧会(大阪万博)のシンボルで、芸術家の故岡本太郎氏が制作。今年3月に約半世紀ぶりの内部公開が始まったが、予約サイトはアクセスが殺到し、受け付け開始直後にダウンするという盛況ぶりだった。

 初代通天閣の誕生は1912年で、03年に開催された第5回内国勧業博覧会の会場跡地に建てられた。43年に炎上し、現在は2代目。今や大阪のシンボルであり、外国人観光客にも人気スポットとなっている。2025年国際博覧会では、何をレガシーとして後世につないでいくのか。

■ソフトの形で

 現在、国や大阪府、大阪市が万博後に残そうとしているのは、ソフト面でのレガシーといえる。

 「21世紀になって博覧会そのものの意義が変わった。世界人類が直面し、対処を求められている諸課題を解決する場とされた」と指摘するのは、大阪府市の特別顧問を務める大阪府立大研究推進機構の橋爪紳也教授。

 「世界規模で起きている人口爆発への対応と、超高齢化社会への対処」を課題に掲げ、70年大阪万博のレガシーを振り返りながら、ワイヤレステレホンや動く歩道など次世代に普及させた技術やアイデア、人材育成に目を向ける。

 関西経済連合会の松本正義会長は「今回の制度設計の中で、ハードを残していくという考え方は少ないのでは。国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の17アイテムの中から、万博のテーマにふさわしいものを選択し、ソフトの形で残していくのが一応の方向性」と国や自治体の考え方に同調する。

■「文化的資産」

 「終われば壊す一過性のイベントにしてはならない」と昨年4月に行われた講演で強調していた大阪商工会議所の尾崎裕会頭。期間中には「企業のアイデアや技術の商業化、実用化に向けた実証実験ができるフィールドとして活用」と提案していた。現在も万博終了後について「施設に限らず、ソフト面でも実証実験などを通してレガシーを残せれば」と展望する。

 財界では、ソフト面のレガシーは重要としつつも「太陽の塔や日本庭園のようなものが残せれば」(小島淳司・がんこフードサービス会長)、「研究施設ができれば」(池田博之・りそな銀行副会長)といった声も上がる。

 太陽の塔と通天閣は単なるハードではなく「文化的資産」という評価もあり、同様のシンボルを望む声もある。誘致実現が先決ではあるが、レガシーの中身によっては建設資金確保に関わるだけに、迅速かつ十分な議論が必要となる。

(おわり)
ミニクリップ
 SDGs(持続可能な開発目標) 2030年までに自然破壊に歯止めをかける一方で、貧困や飢餓を廃絶、すべての人に働きがいのある雇用を提供するといった17の目標と169の具体的な「ターゲット」からなる。国連で各国が合意しており、「誰ひとり取り残さない」が合言葉。2025年国際博覧会(万博)の大阪開催を目指す誘致委員会は、万博を通じてSDGs達成に貢献すると掲げている。