なにわに生きる 次代につなぐ

 2019年が明けた。平成と新元号をつなぐ節目の年となる。新しい時代をつなぎ、結ぶ年ともいえそうだ。時代が変わろうとする中、次の時代を担う人たちに、何を引き継いでいくのか考える時間でもある。関西地域の中核都市として大阪の発展は欠かせないが、主役はあくまでも大阪に暮らす人たち。本紙では年間企画として「なにわに生きる−次代につなぐ」と題し、今を生きている私たちが次代につなぐものは何かを取り上げる。

第2部「国際化の波」(2)

2019年4月26日

共生の姿 住民主導で団体発足へ

「IKUNO・多文化ふらっと」のキックオフセミナーでまちづくりについて意見交換する参加者ら=2月、大阪市生野区

 「一番は言葉。病院で自分の状態を説明するのにすごく困りました」−。住民の5人に1人が外国人登録している多国籍の町、大阪市生野区で暮らすインドネシア出身のディアパリ・アンディカさん(28)は、来日当時を流ちょうな日本語でこう振り返った。

 アンディカさんは、生野区の日本語学校に通うために2014年に来日。区内での生活になじみ始めたころ、急に耳が痛くなり、駆け込んだ耳鼻科で気付かされた。「日常会話は学んでいたが、どう痛いとか、持病について日本語では具体的に説明できない」。その場はジャスチャーなどで乗り切ったが、しばらく病院では「必死」だった。

■多国籍の町

 住民基本台帳人口(2018年9月末時点)によると、生野区は人口12万7275人のうち外国人登録人口が2万7669人。外国人住民比率(同年12月末時点)は21・82%に達し、大阪市の中でも唯一20%を超えている。

 国別で見ると共生の長い歴史がある韓国、朝鮮が最も多いが、中国やベトナムからの留学生など“ニューカマー外国人”と呼ばれる新たに来た外国人も増え始め、その数は60カ国以上。多国籍の町に対応すべく、区役所は外国人にも伝わりやすい「やさしい日本語」の取り組みを推進している。

 区内では昨年4月から住民や有識者、NPO関係者らが集まり、多文化共生をテーマに意見交換してきた。メンバーらは市民主導による多文化共生のまちづくりを目的とした団体「IKUNO・多文化ふらっと」の今年6月の発足を目指している。

 今年2月にキックオフイベントとして開かれたセミナーでは、在日コリアンやニューカマー外国人、若者、行政などさまざまな立場の参加者が、リレートークやグループセッションで理解を深め合った。

■多文化共生

 生野コリアタウンを拠点に子どもの教育格差の是正などに取り組む、NPO法人クロスベイス代表で設立準備会メンバーの宋悟(ソンオ)さん(58)は「英語を学ぶことだけが国際化ではない。多様な文化を受け止める寛容さやしなやかさ、オープンマインドを育むことが大切。在日コリアンとともに暮らしや経済を築いてきた歴史の財産がある生野は、多文化共生のまちづくりのモデルになり得る」と指摘する。

 アンディカさんは、大学院進学のため一時府外に転居したが、「住民同士が自然に声を掛け合える、住みやすさがある」とすぐに生野に帰ってきた。現在は「生野まちづくりセンター」で働きながら、ふらっとの立ち上げにも参加。

 「行政や地域の取り組みは進んでいるが、届いていない外国人はまだまだいる。交流し、理解し合えるように日本人と外国人をつなげるのが私の役割」とアンディカさん。手を取り合う共生の姿は、生野の町から広がっていく。

 やさしい日本語 日本語が得意でない人たちに伝わるよう分かりやすい言葉や表現に言い換えた日本語。災害発生時の情報伝達をはじめ、行政や観光、生活などさまざまな分野で注目され、取り組みが広がっている。


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