なにわに生きる 次代につなぐ

 2019年が明けた。平成と新元号をつなぐ節目の年となる。新しい時代をつなぎ、結ぶ年ともいえそうだ。時代が変わろうとする中、次の時代を担う人たちに、何を引き継いでいくのか考える時間でもある。関西地域の中核都市として大阪の発展は欠かせないが、主役はあくまでも大阪に暮らす人たち。本紙では年間企画として「なにわに生きる−次代につなぐ」と題し、今を生きている私たちが次代につなぐものは何かを取り上げる。

第2部「国際化の波」(4)

2019年4月28日

観光の行方 情報発信に外国人の観点

大阪観光局の職員と打ち合わせするシンプソンさん(左)。ブルーアイズの視点から観光施策のアドバイスをする=大阪市中央区

 今年の20カ国・地域(G20)首脳会合やラグビーワールドカップ、2025年の大阪・関西万博開催など、世界から大阪に向けられる視線は熱い。大阪観光局(溝畑宏理事長)は、観光施策に外国人の視点からのアイデアを盛り込むため、英国人の大阪観光アドバイザーを配置。「ブルーアイズ」に写る大阪の魅力をアドバイスし、国内外への情報発信の“要諦”として存在感を発揮している。

 16年から大阪観光アドバイザーを務めるのはナイジェル・シンプソンさん(43)。日本での生活は20年近い。1994年、ケンブリッジ大東洋学部日本学科に進学したことが、日本とのつながりになった。

■ミステリアス

 これまで知らなかった国のことを学ぼうと、日本学科への進学を選択。「日本はミステリアス(神秘的)だった」と、日々の課題に追われながら3年生時に日本に留学し、1年間大阪の大学で学んだ。

 現在は日本各地で外国人を見かけるのは日常だが、シンプソンさんが留学した頃は少なく、「コミュニティーに出かけないと出会うことはなかった」と、大阪の街の変遷に驚く。

 大学卒業後は、4年間学んだことを生かすため、日本に戻ってきた。外国人向けに宿泊や飲食、観光情報をインターネット配信する事業の立ち上げや、企業のアドバイザーなどを経験した。

■ダウンタウン

 大阪観光局は「活力あふれる大阪」「世界に輝く大阪」「歴史・文化あふれる大阪」を表現し、国際観光都市「OSAKA」を世界に向けて打ち出すキャッチコピーとして、「DOWNTOWN of Japan」を掲げる。

 「DOWNTOWN(ダウンタウン)」は日本で「下町」と訳され、観光とかけ離れたイメージを抱かれるが、シンプソンさんは「グローバルシティー(世界的な大都市)に生まれ変わってきている大阪を示す言葉」と強調する。

 世界的に「ダウンタウン」は街の中心部を差し、「ヒト・モノ・カネ」が集まる活気とにぎわいのあるエリアを示す。近年は、危険な場所というイメージから、おしゃれでスタイリッシュな地域へと意識が変化している。

 現状では韓国や中国など東アジアがインバウンド(訪日外国人客)で大きな割合を占めるが、欧米豪へのアプローチが観光振興には欠かせないと指摘する溝畑理事長。「大阪が世界の中で『突き抜けた観光都市』になるために、シンプソンさんのマーケティング力やブランディング力が必要だ」と手腕に期待する。

 「大阪の良さは“大阪人”。観光客も実感している」とシンプソンさん。人情に厚い大阪は、大都市なのに地方の独特な文化が残る土地が魅力だという。これからの数年間、大阪は世界の中で存在感を発揮する。

 ダウンタウン化を目指す大阪にシンプソンさんは「時代が変わる中で、観光局とタッグを組んで仕事ができるのは光栄。プレゼンス(存在感)を高めていく力になりたい」と意気込む。

(第2部おわり)

 ◇この企画は、加星宙麿、北野保司、光長いづみ、足立篤史が担当しました。

 来阪インバウンド 大阪観光局によると、2018年に大阪を訪れたインバウンド(訪日外国人客)は、過去最多だった17年(1110万人)を上回る1142万人だった。今年は国際的な催事もあり、大きな災害がなければ1225万人が来阪すると推計している。


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