なにわに生きる 次代につなぐ

 2019年が明けた。平成と新元号をつなぐ節目の年となる。新しい時代をつなぎ、結ぶ年ともいえそうだ。時代が変わろうとする中、次の時代を担う人たちに、何を引き継いでいくのか考える時間でもある。関西地域の中核都市として大阪の発展は欠かせないが、主役はあくまでも大阪に暮らす人たち。本紙では年間企画として「なにわに生きる−次代につなぐ」と題し、今を生きている私たちが次代につなぐものは何かを取り上げる。

第4部「働き方」(4) 仕事と介護

2019年11月29日

状況に応じ的確支援

自分の力を発揮できる職場づくりに奔走する岡田さん=大阪市北区

 高齢化が進む日本において、介護は多くの人が直面するテーマの一つ。2040年の大阪府の人口構成は、65歳以上の割合が6割を超えると推計されている。将来を見据え、家族の介護が必要になった時や子育てなど、家庭の状況に応じた働き方ができるような制度を整える企業が増えている。行政は必要な制度を活用しながら、高齢者の社会参加や生きがいづくりを促進しており、安心して働き続けられる環境も官民で醸成されつつある。

■環境に応じて

 日本政策金融公庫は、多様な人材が活躍する「ダイバーシティ」を推進している。全国を地域ブロックに分け、ダイバーシティ推進専任者を全国に7人配置し、職員の意識改革や柔軟な働き方を促進する活動を各地で行っている。

 10月下旬、同公庫大阪支店(大阪市北区)で開かれた「仕事と介護の両立支援セミナー」。地域の金融機関の職員らも出席した意見交換会では、「自身が将来、介護を受ける立場になることを考えると、介護を理由に職を辞するのはいい判断とは言えないと認識できた」などの意見があった。

 同公庫は、職員のライフステージに応じた仕事と家庭両方の充実を目指す「ワークライフ・マネジメント」を実践する支援制度を整える。出産から育児、介護のそれぞれのライフステージに応じ、勤務時間を自由に設定できる「フレックスタイム制」を選択したり、勤務時間の短縮が可能になる。

 要介護3以上の家族がいる場合には、5年以内に転居を伴う異動が免除される「介護特例」を設けるなど、職員が安心して働き続けられる企業を目指す。

 近畿ブロックのダイバーシティ推進専任者の岡田知之さんは「いろいろな状況の職員が増えてくる。自分の力を発揮できるような職場づくりを進めていく」と意気込む。

■ええまち大阪

 積極的な社会参加に加え、仕事や地域の活動を通して誰かに必要とされる「生きがい」は、高齢者の介護予防には欠かせない。大阪府は、若い世代からシニア層の“オール大阪”で、地域包括ケアシステム構築を目指す「大阪ええまちプロジェクト」を展開している。

 住民主体型サービスの創出に取り組もうとする団体にとって、何から手をつけるか考えることは課題の一つでもある。ビジネススキルや専門知識を生かして活動するボランティア「プロボノワーカー」と、こうした団体とをつなげ、企画や運営を支援するのも、同プロジェクトの特徴となっている。

 団体同士の連携もあり、介護予防や生活支援などに取り組む団体を、府内で先駆的に取り組んでいる団体が個別にアドバイスするケースもある。移動支援や担い手確保など、団体運営で直面する課題解消に向け、実効性の高いアドバイスが役立っている。(おわり)

地域包括ケアシステム 団塊の世代が75歳以上となる2025年をめどに、重度な介護状態となっても、必要なサービスを選択しながら住み慣れた地域で暮らし続けることを目指す取り組み。


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