街と人 なにわの夢

 大都市・大阪の街は時代とともに変化してきたが、そこには人々の暮らしが息づいてきた。今後、街の姿はさらに大きく変貌していくことが予想される。目に見える変化だけでなく、暮らしを取り巻く環境もまた同じだ。街と人に焦点を当て、令和時代の変わりゆく大阪を見つめる。

第4部「変革に挑む」(中)「命と安全守る」

2020年11月30日

コロナ禍での災害に備え

コロナ禍での地震発生を想定した避難訓練。体育館入り口で検温を受ける参加者ら=27日、吹田市の関西大

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、災害時にはこれまでと違った新たな備えが必要になっている。避難所での集団感染を防ぐための検温をはじめ、十分なスペースの確保が求められる。大規模地震や風水害の発生時には、ただでさえ混乱が予想されるが、命と安全を守るためにコロナ禍の状況に即した対応が模索されている。

■さまざまな場面

 「いざというときの避難行動を想定し、訓練を通して防災意識を高めたい」。27日、関西大(吹田市)で新型コロナの感染拡大を想定した大規模地震発生時の一時避難者の受け入れ訓練が行われ、同大学総務課の中村匡志課長が参加者に狙いを説明した。

 キャンパスは吹田市から「一時避難地」に指定されており、地震の最初の揺れの後の別の揺れに備えて、住民はグラウンドに避難できることになっている。さらに避難者を一時的に受け入れる防災協定も結んでおり、体育館を一時避難施設として開設する。

 訓練には地域住民と学生の計50人が参加。体育館の入り口で検温を行い、発熱している設定の参加者と症状のない参加者を別々のスペースに誘導。妊婦やけが人などの設定の参加者もおり、さまざまな場面での対応を検討した。

 発熱者役で参加した主婦(77)は、1995年の阪神・淡路大震災を経験。「茶碗(ちゃわん)がばらばらになったり、家の中はぐちゃぐちゃだった。今回はさらにコロナがあり、近所の人と避難するときも距離を取りながら避難したい。いざというときはパニックになると思うので訓練が大事だ」。

 聴覚障害のある同大学3年、正木海帆さん(21)は「(相手が)マスクをしていると情報が読み取れない」と振り返り、筆談でやりとりする重要性を語った。

■普段から習慣付け

 避難所の在り方にも新たな対応が求められている。同市危機管理室の平野和男室長は「これまで避難所は、1人当たり2平方メートルの面積を確保していたが、コロナの状況では4平方メートルとされ、単純に収容人数が半分になる。今後の避難の在り方を考え直す機会になっている」。その上で、友人宅や親戚宅などへの分散避難、上の階などに逃げる垂直避難といった方法の周知も必要だと強調する。

 同大学社会安全学部の高鳥毛敏雄教授によると、阪神・淡路大震災での避難所ではインフルエンザ、東日本大震災の避難所ではノロウイルスの感染が集団発生しており、コロナ禍の避難所での感染予防対策の必要性を指摘する。

 個人の対策には「普段から対応を身に付けておくこと」が重要だと説く。避難時のスムーズな行動につなげるためにも、感染予防の習慣を付けておくことがポイントになる。

ミニクリップ
 避難所生活の感染予防
 感染を防ぐポイントとして高鳥毛教授によると、動線を確保して決めておく▽出入り者のチェックと持ち込み防止対策▽歓談・談笑時のマスク▽飲食時の感染予防マナー▽トイレなど排泄(はいせつ)物を扱う場所の衛生管理と対策▽ごみ処理、廃棄物の衛生処理−などとしている。


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