大阪発 癒やしの温泉巡り

秋田県・強首温泉 「樅峰苑」(下)

2018年2月10日

豊富な湯量 源泉掛け流し

庭にそびえる大樹の樅の木を見ながら入れる露天風呂「大樹の湯」

 樅峰苑(しょうほうえん)は1966(昭和41)年、小山田家15代の妻で、現在の16代・小山田明さんの母が創業した宿だ。当初は「強首ヘルスセンター」と名乗ったが、92年に今の宿名に改めた。

 宿の魅力は、17(大正6)年竣工(しゅんこう)の風格ある古き良き時代の姿を今にとどめる建物だけではない。豊富な湯量を誇る源泉掛け流しの良質の天然温泉に入れるのも大きな魅力。強首温泉の歴史は、64年に強首大場崎地区の田園の中で天然ガスを試掘するためのボーリング調査中、ガスではなく大量の天然温泉が湧出したことに始まる。

 当宿も当初はそこから温泉を引湯して利用していたが、2008年に宿の敷地内で地下800メートルからの温泉ボーリングに成功。現在は、自家源泉で湧出量毎分240リットルの掛け流しの天然温泉を利用する。

 源泉名は「樅峰苑の湯」、泉質は塩化物泉(ナトリウム−塩化物強塩温泉)、源泉温度は49度。加水・加温・循環・消毒など全て無しの成分の濃い湯に入浴すれば、体内の水分を排出して体内に温泉成分を吸入し、切り傷・末梢(まっしょう)循環障害・冷え性・うつ状態・皮膚乾燥症などに効能あり。浴場は、ヒノキ材を壁面や天井にふんだんに使用した男女別の「ひのき風呂大浴場」、そして建物から少し離れた所にあって、当宿シンボルの大きな樅(モミ)の木を眺めながら入れる「大樹の湯」と木立の間から差し込む木漏れ日を楽しめる「こもれびの湯」の二つの野趣あふれる露天風呂がある。

 また食も魅力。豊かな自然に恵まれた強首の地の旬の食材を使った女将(おかみ)手作りの料理を味わえる。地元ならではの川カニ料理やコイ料理、アユの塩焼きや鴨鍋など、郷土色豊かな伝承料理をおいしくいただける。小山田明さんは「日本の伝統的たたずまいを大切にして、世界に誇れる日本の古き良き時代の文化遺産を後世まで残していきたい」と話す。ほかでは決して見ることのできない大正ロマンの風格ある宿を、遠い関西からでも一度は訪ねてほしい。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

●温泉のプロフィル●
【所在地】秋田県大仙市強首字強首268
【電 話】0187(77)2116
【部屋数】7室(和室)
【宿泊料金】1万4500円(1泊2食、消費税・入湯税別)〜
【日帰り入浴】営業時間午前11時〜午後3時
【入浴料金】大人600円、小人300円
【定休日】年中無休
【交 通】
・JR奥羽本線峰吉川駅→宿(宿の送迎車で約6分・要予約)
・秋田自動車道西仙北IC→宿(車で約7分)
・秋田空港→宿(飛行機を利用の場合、宿の送迎車で約16分・要予約)