お宝ウオッチング〜文化財をたずねて〜

 守られてきたのには理由(わけ)がある。何十年、何百年、千年の時を超え、今もそこにある文化財は、私たちに歴史の重みとこれからの道を照らしてくれるように感じる。だからこそ、改めて学んでいこうと思う。

住吉大社 (大阪市住吉区)

2021年4月8日

多くの人から愛される

底筒男命が祭られているの第一本宮
豊臣秀頼が奉納し、舞楽が演じられる国の重要文化財、石舞台
大阪の夏祭りのフィナーレを飾る大祭「住吉祭」=2019年8月1日、同大社

 大阪を代表する神社の一つで全国の住吉神社の総本宮、住吉大社(大阪市住吉区)。初詣や七五三などの年中行事や、結婚式などの晴れの舞台に活用されるなど、多くの市民、府民から「住吉っさん」の愛称で多くの人に愛されている。地域の神様だけでなく、大阪市内では唯一の四つの国宝建造物のほか、重要文化財など数多くの「お宝」が残されている。

◆国宝の四本宮

 同大社が鎮座したのは神功皇后摂政11年、211年と伝えられている。祭神は海底から生まれた底筒男命(そこつつのおのみこと)、中から生まれた中筒男命(なかつつのおのみこと)、海面から生まれた表筒男命(うわつつのおのみこと)の三神の総称である住吉大神。後に神功皇后も併せて、お祭りしている。

 遣唐使の時代は海の玄関口で海の神様を祭っていることから、航海に先立って、無事を祈っていたという。今は家内安全、交通安全などを含め、幅広い御利益があるとして多くの人が参拝している。

 その祭神を祭っているのが底筒男命の第一、中筒男命の第二、上筒男命の第三、神功皇后の第四の四つの本宮。一から三までが縦に、第四は第三の横に並んでいる。全国でも珍しい配置で古代の祭祀(さいし)形態を伝える貴重な資料だという。

 また、屋根が桧皮葺(ひわだぶき)(ヒノキの皮を敷き詰めて屋根をふいたもの)であるなど古式様式の「住吉造(づくり)」で造られている。現在のものは1810(文化7)年に造営され、すべてが国宝に指定されている。

◆多様な文化遺産

 四つの国宝だけでなく、数多くの文化財が保存されている。舞楽が演じられる石舞台は1607(慶長12)年に豊臣秀頼が奉納し、1974(昭和49)年に国の重要文化財(重文)に指定。また、南門や舞楽で使用される面「綾切(あやきり)」など計24種の建造物や品々が、重文に指定されている。

 そして、毎年6月14日に行われている「御田植神事」は、国の重要無形民俗文化財。五穀豊穣(ほうじょう)を祈念して、敷地内にある御田で稲を植えていく。当日は牛なども参加し、華やかに執り行われている。

 7月末から行われる「住吉祭」は大阪府指定無形文化財で、大阪の夏祭りのフィナーレを飾る大祭。8月1日に神殿前のある反り橋をおみこしが渡る様子を見物に、多くの人が押し寄せる。

 有形、無形、さまざまな文化遺産を保存している同大社。神武磐彦権宮司は「これからも地域、国の礎となる貴重な品々を守りながら、多くの人に支えられ、愛される神社でありたい」と話している。



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