相羽秋夫のお笑い食べまくり

東京落語 「中村仲蔵」

2018年2月10日

ベテラン俳優が全国の味

フレンドリーでユニークな店構え

 江戸期の役者中村仲蔵が、まだ下積みの頃。「忠臣蔵五段目」の定九郎の役がついた。端役に近かったが、壊れた蛇の目傘を半開きにして花道を駆け出し、七三で傘を開いて見得(みえ)を切るという、全く新しい型を考案する。市村座の初日にこれを披露すると大反響を呼び、仲蔵は一躍名優との評価を得る。芝居の世界を描いた「中村仲蔵」と題する人情噺(ばなし)だ。

 18歳で芝居の世界に入り、24歳で杉良太郎さんに入門したベテラン俳優浪花ゆうじ(本名・安井勇二)さんは、全国を公演で巡るうち、各地の美味に触れ、培った人脈をフル稼働させて11年前に“くずれ割烹(かっぽう)”「花道」を開店した。一流の料亭の味を、低価格で提供している自負が、浪花さんにはある。

 メニュー数は、なんと200品(400〜3980円、全て税別)を超す。「まだまだ増えますよ」と笑う浪花さんのお勧めは、大別すると、魚介、地鶏、馬の3種類になる。冬場は、何といっても国産とらふぐの「てっちり」(1980円から)だ。さらに、北海道産「トロホッケ」と宮崎産「金華サバ」の一夜干し丸1匹が、共に1380円。そして新潟産「ノドグロ」の一夜干し片身が2900円。鹿児島産の「薩摩地鶏」の炭火焼(1280円)や、「地鶏ブツ切とりわさ」(800円)は、現地で味わった浪花さんの折り紙付きである。

 熊本から直送される「馬刺(ばさし)三種盛」(1800円)は、日によって部位が異なるが、熊本一の牧場の味が堪能出来る。締めに、にぎりと巻きの寿司(すし)(400円から)がある。地酒、焼酎、ビール(400円から)類を飲んでも、5千円あれば十分満喫可能だ。

 杉良太郎・伍代夏子夫妻はもちろん、俳優、吉本芸人、プロ野球選手が、頻繁に来店する。この店は、スターたちにとって、“花道”に通じる賄い付きの楽屋なのである。

(演芸評論家)
薩摩地鶏と漁港直送の海鮮料理「花道」
大阪市中央区千日前2の4の12 1階 06(6644)3303
正午〜深夜2時(ランチは午後2時まで)日曜休 予約可