来阪catch

望月記者の取材活動追う

映画 「i新聞記者ドキュメント」
監督 森 達也
2019年11月30日

組織はいつでも暴走する

「望月記者のモチベーションはすごかった」と話す森達也監督=大阪・十三の第七藝術劇場
望月衣塑子記者(C)2019「i新聞記者ドキュメント」製作委員会

 オウム真理教の内部を撮ったドキュメンタリー映画「A」(1998年)などで知られる森達也監督(63)の新作「i新聞記者ドキュメント」(スターサンズ配給)が第七藝術劇場ほかで上映されている。東京新聞社会部記者・望月衣塑子の取材活動を追った作品で「メディアのあり方を通して組織はいつでも暴走するということを訴えたかった」という森監督に話を聞いた。

 オウム真理教の若い広報マンだったAを追いかけた映画「A」「A2」で世間をあっと驚かせた。「あの時『よくオウムの中に入れたな』と言われたが、僕はただ正攻法に取材を申し入れしてOKをもらった。当時、教団が恐れられていたので申し込む人がいなかっただけ。ある意味、今回の望月記者の取材も、安部首相周辺に忖度(そんたく)して誰も近づかなかったのだろう」

 望月記者は菅義偉官房長官の官邸会見に出席し質問攻めをして評判になっている。「それを嫌った長官が彼女にクレームをつけ、なおかつ質問妨害をするようになった。記者として質問するのは当たり前で、それに応えない官邸側と、同席している他メディアの記者は何をしているのか。望月記者の行動を追いながら、メディアのあり方を問い、その正体を探ろうと思った」

 望月記者はそれに屈することなく官邸の会見取材を続けている。「ご主人は同じ業界の記者だが映画には出ていない。彼は奥さんの弁当を作っているそうで、彼女のエネルギーの一端を担っている。取材活動の合間、2人の子どもと電話で会話する時母親の顔がのぞき、彼女はまた普通の女性である。取材途中のビルの中で迷ったり、方向音痴になるシーンも入れた」

 辺野古基地移設問題、伊藤詩織さん準強姦(ごうかん)事件、森友問題、加計学園問題などで望月記者は走り巡る。周辺取材も熱心で、伊藤さんとは親しい友人になっている。「今の時代、メディアの中で望月さんが目立っているのは異常だ。もっとたくさんの望月記者がいるはずで、どうしてみんな黙っているのか。相手が安部一党という集団で、その暴走に立ち向かう望月記者はカッコいいと思う」

 劇映画「新聞記者」(藤井道人監督)の河村光庸プロデューサーがドキュメンタリーの本作も担当。「劇映画もやりたかったが、同時進行は無理で、次は劇映画だけをやりたい」と森監督。元々自主映画出身で「劇場映画を撮るならホラーか社会派ヒューマンものをやりたい」と青写真を描いている。



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