来阪catch

鎮魂の思い抱き弾く

バイオリスト
式町 水晶
2019年12月28日

TSUNAMIバイオリン手に

TSUNAMIバイオリンを弾く式町水晶=大阪市港区のラジオ大阪
新譜「希望への道」のジャケット

 生まれつき小脳に軽いまひがあり、手足がこわばるなどの障がいがありながらポップス、ジャズをバイオリンで奏でるジャンルで頭角を現した式町水晶(みずき)(23)が2枚目のアルバム「希望への道」(キングレコード)を出した。東日本大震災の流木で作られ、世界に4挺(ちょう)しかないTS(ツ)UN(ナ)AM(ミ)Iバイオリンを手に大阪を訪れた式町に話しを聞いた。

 格闘技が大好きで、寒い時期でも半袖にベスト姿。しかもベスト内と足首ベルトには重りが入っていて、歩く度に筋トレになる仕掛けだ。「ステージ本番では全部外す。軽くなった開放感で、演奏もスムーズにいく」と話す。単なる筋肉おタクからではない。手足のこわばりを克服するには、日常から全身筋力の維持が欠かせないのだ。

 「幼い頃に最初はピアノを習った。でもまひの影響で手の指がうまく動かない。その時にバイオリンに出合った。左手をギュッと曲げて弦を押さえるが、角度的にうまく指が使えた。以来、ずっとバイオリン一筋」と笑う。

 TSUNAMIバイオリンとの出合いは6年前。以前から被災地演奏慰問を続けており、バイオリン師匠の夫が楽器職人の中沢宗幸さん(78)だったことから、4挺の内の1挺を使うことを許された。裏面には岩手・陸前高田市の奇跡の一本松が描かれており、柔らかい丸みのある温かい音色が特徴。「バイオリンの音色をつかさどる魂柱(こんちゅう)は、あの一本松で出来ている。鎮魂の思いが込められ反響音がすごい。被災地への思いを抱き常に弾いている」と話す。

 昨春にファーストアルバム「孤独の戦士」を出した。「自分の中では今回の2枚目とつながっている。“孤独の戦士”がたくさんの方に助けられて“希望の道”が開けた、というイメージ」とほほ笑む。

 生まれ育ちが東京で、プロになってからの活動も大震災の関係などで東日本中心だったが、来春初めて大阪でのコンサートも決まり活動を広げつつある。「大阪に来るとテンションが上がる。お客さんのリアクションが大きくて、乗せられてしまう」と今から楽しみなようすだ。



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