来阪catch

男の本音と女のたくましさ

映画「グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇」
監督 成島 出
2020年2月15日

陽の太宰治をユーモアで

「昭和のおおらかさを今風に…」と話す成島出監督=大阪市内のホテル
大泉洋と小池栄子(C)2019「グッドバイ」フィルムパートナーズ

 ケラリーノ・サンドロヴィッチの舞台劇を映画化した「グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇」(キノフィルムズ配給)が大阪ステーションシティシネマほかで上映されている。太宰治の未完作「グッド・バイ」をモチーフに「陽の太宰をユーモアに包み、男の本音と女のたくましさを描いた」という成島出監督(58)に話を聞いた。

 「八日目の蝉」などの名匠、成島監督が「ちょっと今から仕事やめてくる」から3年ぶりにメガホンを取った新作。「本当はちょっと病気をしたので間が空いてしまった」と苦笑いするが、サンドロヴィッチの同名舞台を見たのが5年前で「その時から映画にしたいと思っていた。基本的に太宰ファンだったし、最後の未完作に触れられるのはうれしいことだった」。

 戦後すぐの昭和の時代。雑誌社で編集長をしている田島周二(大泉洋)が、田舎に疎開していた妻(木村多江)と娘を呼び戻すために今いる愛人たちと別れようと、“うそ女房”キヌ子(小池栄子)を雇って愛人宅を訪れる。「僕が見た舞台版は仲村トオルさんが田島で、小池さんがキヌ子。舞台版よりユーモアを強めたいと周二を大泉さんにお願いした。小池さんは『八日目の蝉』で一緒に仕事をしてパワーを知っているので映画でもキヌ子をやってもらった。面白い昭和のカップルができた」

 太宰原作は森雅之と高峰秀子主演で「グッド・バイ」(1949年、新東宝)として映画化された。「昭和の話であるが現代にもマッチするような展開に持っていきたかったので、太宰の陽の部分を大泉さんの周二に重ね、小池さんに強いキヌ子を演じてもらった。あの時代でこびを売らず自立しているキヌ子が、男の本音で生きようとする周二を振り回す。小池さんがヒロインを好演してくれた」

 愛人を演じるのは水川あさみ、橋本愛、緒川たまきの3人。「木村さんの人妻も入れてそれぞれ昭和の女で、上品さを秘めながらそれぞれが今日風の女性の強さを持っている。木村さんの主婦パワー、水川さんの奔放さ、橋本さんは昭和の女優イメージで、舞台に出ていて違う役を演じてもらった緒川さんの色っぽい力演も心強かった。太宰も天国で苦笑いしてくれるのではないでしょうか」。松重豊、濱田岳、皆川猿時らが共演。「コメディーの天才、エルンスト・ルビッチ調を狙っています」と成島監督は笑顔を見せた。



サイト内検索