来阪catch

状況を横断して本質を

ドキュメンタリー映画 「わたしは分断を許さない」
監督 堀 潤 
2020年3月7日

小さな主語で発信する

「入り口をたくさん用意したが、どうしても知ってほしかった」と話す堀潤監督=大阪市内
映画の中のシリアの少女(C)8bitNews

 元NHKの報道マンだったフリージャーナリストの堀潤(42)が5年の歳月をかけて撮ったドキュメンタリー映画「わたしは分断を許さない」(太秦配給)が14日から第七藝術劇場ほかで公開される。「世界で起きている事象を横断して本質に迫り、大きな主語でなく小さな主語で訴えたい」という堀監督に話を聞いた。

 兵庫県生まれで立教大卒業後NHKに入局し、岡山放送局からスタート。東京に移り報道番組のリポーター&キャスターを務める。アメリカ留学中に日米の原発事故の報道を追った「変身 Metamorphosis」を制作。「日本の福島とアメリカのスリーマイル島、そしてサンタスザーナ原子炉実験場の原発メルトダウンを取材して撮った。翌年の2013年4月にNHKを退局した」

 フリーになって自由に取材できるようになり約5年間、原発の福島、沖縄、シリア、パレスチナ、朝鮮半島などに「真実を見極めるため」に取材に行った。テレビやラジオ、会員制交流サイト(SNS)、執筆活動で報告しながら、2本目の映画はそれらをまとめた。原発被災者による「生業訴訟」を取材し、原告団の人たちが東京電力と国に「分断させられている」事象と、海外取材を含めて立ち合った現場に共通してあったものの正体が重なった。

 「昨年、香港取材の時雨傘運動の元リーダーや幹部が逮捕された。中国と香港の対立もまさに『分断』。そう思って、映画のタイトルは『わたしは分断を許さない』に決めた。シリア取材で拘束された安田純平さんが『シリアのことを日本の人に知ってほしかった』『それを知りたくない人は、隣の人のことは知りたくないということと同じだ』とおっしゃったのがよく分かる。主語は大きな国やわれわれではなく、小さな主語で淡々と伝える役目を担おうと思った。映画のタイトルに『わたし』を入れたのはそのためである」

 福島の「生業訴訟」原告団の久保田美奈穂さんは子どもを連れて沖縄に移住し、辺野古で地元の人たちの基地反対運動に参加。取材に応じる沖縄の人、シリアの少女、北朝鮮の高校生、パレスチナ・ガザ、香港の若者たちなど言葉は違うが「悲しい…」「幸せ」「夢」をそれぞれ語る。「この映画はそれぞれ違う状況を撮っているが、人々が願っていることは同じじゃないだろうか」

 堀監督は撮影・編集・ナレーションを務めている。次回作はアフリカのスーダンを題材に撮影に入っている。



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