来阪catch

アウトローと少女の物語

映画 「ひとくず」 
監督・主演 上西 雄大
2020年4月18日

児童虐待の話聞いて

「心がある映画にしたかった」と話す上西雄大監督=大阪市内
「ひとくず」の上西雄大(右)と小南希良梨(C)yudai uenishi

 俳優で映画監督の上西雄大(55)が監督・主演した「ひとくず」(渋谷プロダクション配給)。2019年ミラノ国際映画祭でグランプリと主演男優賞を受賞した作品で「児童虐待をテーマにしたアウトローと少女の物語」という上西監督に話を聞いた。

 上西は2012年に旗揚げした劇団テンアンツを主宰し関西を中心に演劇活動を続けている。俳優、脚本家としてVシネマなどでも活躍しており、映画監督としてはこれが長編2作目で世界的映画祭での受賞に注目が集まっている。「映画は自分が演じたい役をやるために自分で脚本を書いて監督もするというスタイル。ミラノではその両方が認められてうれしかった」

 「ひとくず」は、「人間のくずだが、人間の良心を持っている」という男を主人公にしている。「いわゆるアウトローで、無職なうえ泥棒稼業で食っている男。それがある日、空き巣に入った時、母親(古川藍)に虐待されている少女(小南希良梨)に出会う。男は昔、親に虐待された体験がよみがえって、少女を助ける。誰も助けない少女に手を差し伸べる男の優しさと、やがて少女とその母親と一緒に暮らして不器用ながら家族のようになっていく姿を描いている」

 きっかけは児童相談所の医師に子どもの虐待の話を聞いたことから。「それまでにもいろんな虐待の報道を聞いて心を痛めていたのでこれをテーマに映画を作ろうと決めた。ただの教育映画ではなく、例えば韓国映画『息もできない』(2008年)、あるいは日本映画『竜二』(1983年)のようにアウトローに生きる男の物語として面白く作りたいと思った。韓国のヤン・イクチュン、日本の故金子正次を狙って演じた」と振り返る。徳竹未夏、工藤俊作、木下ほうか、田中要次、飯島大介が共演している。

 ドラマ「おみやさん」のレギュラー出演や、「相棒」にも顔を出している。「大阪・十三の生まれで、子どもの頃は近くにあった弥生座で邦・洋画をよく見ていた」。元文部科学省の寺脇研が作った新作「子どもたちによろしく」に俳優として参加している。次回作は赤井英和と共演した「ねばねば新世界」で、「悪名」シリーズをイメージしたという。



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