来阪catch

大人の遊び心で面白く

映画「一度も撃ってません」
監督 阪本 順治
2020年5月9日
「好きな俳優仲間と面白い映画を作った」と話す阪本順治監督=大阪市内のホテル
左から桃井かおり、石橋蓮司、岸部一徳?2019「一度も撃ってません」FILMPARTNERS

 昨年の「半世界」(稲垣吾郎主演)でおおさかシネマフェスティバル2020の監督賞を受賞した阪本順治監督(61)の新作「一度も撃ってません」(キノフィルムズ配給)が近く公開される。ベテラン俳優、石橋蓮司(78)の18年ぶりの主演作で、桃井かおり(69)、大楠道代(74)、岸部一徳(72)という大物スターが競演。「憧れの世代の俳優と一緒に大人の遊び心で面白く仕上げた」という阪本監督に話を聞いた。

 阪本監督は堺市出身で、赤井英和主演の「どついたるねん」(1989年)で監督デビュー。藤山直美主演の「顔」「団地」など多くの名作を手掛けた実力派の名匠。「傷だらけの天使」(97年、豊川悦司主演)などで組んだ丸山昇一(72)のオリジナル脚本を得て、「石橋さん主演作ということで仲間が集まり、喜劇+シリアスな殺し屋映画を、大人の遊び心で見てもらえる面白い作品に仕上がった」。

 石橋は俳優の故原田芳雄(2011年71歳で逝去)と親しく、原田の遺作「大鹿村騒動記」(11年)を撮った阪本監督とも付き合いは古い。「ある時、仲間が原田さんの家に集まって次は蓮司さんの主演映画をという話になった。桃井さん、大楠さん、岸部さんのほか、佐藤浩市君(59)、江口洋介君(52)も来ていて、みんな映画に出ると手を挙げた。同席していた石橋さんは『ふーん』と本気にしないふうな返事だったが…」

 石橋の役は伝説の殺し屋・御前零児、その実は売れないハードボイルド作家・市川進。殺し屋業は本職の男(妻夫木聡)に任せ、元検事の友人(岸部)の裏稼業を手伝っている設定で、トレンチコートとブラックハット姿はカッコよく、ライターでタバコに火をつけるしぐさはハンフリー・ボガートをほうふつとさせる。「60〜70代の映画ファンというか石橋さんの身体ににじんだ時代のモダニズム、同世代の桃井さんらと絡んで独特の世界観がのぞいてくる。演出していてワクワクさせられた」

 佐藤と息子の寛一郎(23)が親子で参加しているが「三国連太郎さんを入れて親子三代の俳優と仕事をしたのは感慨深い」とにんまり。映画のハイライトは石橋の命を狙って香港の殺し屋(豊川)がバー「Y」(原田芳雄へのリスペクト)にやって来て拳銃で対峙(たいじ)する場面。「それと同時に桃井さんと大楠さんのやりあいがアドリブもあって面白い。これからも映画は自分が少年や助監督時代にスクリーンで見ていた俳優さんたちと一緒にやりたい」。ほかに柄本明、柄本佑、井上真央、新崎人生、渋川清彦、前田亜季、小野武彦らが参戦している。



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