来阪catch

自分と重ねて演じた

映画 「燕 Yan」
監督 今村圭佑&主演 水間ロン
2020年5月23日

共感して監督に挑戦

「自分たちのアイデンティティーをそれぞれ重ねて」と話す水間ロン(右)と今村圭佑監督=大阪市北区のスカイビル
燕(水間ロン)=手前=と龍心(山中崇)

 カメラマンの今村圭佑(32)が初監督した映画「燕  Yan」(オフィス・シロウズ製作、catpower配給)が近く公開される。日本の青年が台湾人の母親と兄を訪ねる物語で、主人公を演じた水間ロン(30)は「自分のアイデンティティーを重ねて演じた」という。今村監督は「主人公に共感しながら演出した」とそれぞれやり切り感を強調している。

 今村は昨年話題になった映画「新聞記者」(藤井道人監督)で撮影を担当したカメラマン。「デイアンドナイト」「ホットギミック ガールアンドミーツ」など若手監督と組んだ作品が多く、撮影者として力を発揮している。「今度は監督もやるということになって初めは少しビビったが、日本の青年が台湾人だった母親の故郷を訪ねる話で、舞台になる高雄で撮影することで少し俯瞰(ふかん)して日本、アジアを見られるかなと思ってやることにした」と今村監督。

 水間は西川美和監督の「永い言い訳」、吉田大八監督の「美しい星」などに出演した青春スター。「今回の役は、日本人の父と台湾人の母の間に生まれたハーフで、僕が日本と中国とハーフなので、主人公の燕が身近に感じられた。自分の母のこともエピソードに入れてもらって、それがモチベーションにもなった。高雄で撮影したが、僕は半分自分が生まれた中国の大連と重ねていた。そこで母親に謝りたいことがあった」

 物語は日本の建築事務所に勤める燕が、父親(平田満)から台湾の母(一青窈)と燕の兄の龍心(山中崇)に渡してほしいものがあるといわれ旅立つところから始まる。水間は「母はすでに亡くなっており、高雄での葬儀には行けず、兄とは自分が7歳の時に別れて以来の対面になる。兄に会うとき燕は7歳の記憶に戻って演じた。兄の山中さんは日本語は分かるが出てくるのは台湾語で、僕の日本語が少しなまって、リアルな再会シーンになった」と振り返る。

 「撮影に入ってからはカメラマンの仕事でカメラに徹するが、撮影前が監督の仕事で、その切り替えが難しかった。水間君の主人公に僕の思いも託したし、山中さんの芝居がリアルで、思い出に出てくる一青さんの母が美しくて、いい時間が共有できた」と今村監督は満足そうだ。水間は撮影中台本に一青の写真を貼っていたという。水間は若いころ大阪・天王寺で育った。今村監督は富山県出身。2人は本年度大阪アジアン映画祭に参加した。



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