来阪catch

女子が男子を引っ張る

映画「のぼる小寺さん」
監督 古厩 智之
2020年7月4日

日常の日々を大事に

「青春時代は微妙な時間の間があってスリリング」と話す古厩智之監督
工藤遙(左)と伊藤健太郎(C)2020「のぼる小寺さん」製作委員会(C)珈琲/講談社

 人気同名漫画を実写映画化した「のぼる小寺さん」(ビターズ・エンド配給)が梅田ブルク7ほかで上映されている。工藤遙(20)と伊藤健太郎(23)が主演した青春スポーツ映画。「女子が男子を引っ張る、日常の日々を大事に描いた」という青春派の古厩智之監督(51)に話を聞いた。

 古厩監督は日大芸術学部の学生時代に撮った「ドッジボール」(1992年)がぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞し、長編デビュー作「この窓は君のもの」(95年)で日本映画監督協会新人賞を受賞した才人。後に「ロボコン」「ホームレス中学生」「武士道シックスティーン」などを発表し「青春派」の看板を担っている。新作は「50代になった僕が、もう一度原点に返って撮った」と笑顔を見せる。

 原作は珈琲作の漫画で、アニメ映画「けいおん」「聲の形」などの吉田玲子が脚本を担当。「プロデューサーに『面白い漫画がある』と言われ、一読してすぐに映画にしたいと思った。学生時代特有の青春といういろんな空気が矛盾して存在し、急いでいるようで、ゆっくりと流れている。高校のクライミング部で真っすぐに生きるヒロインの小寺を工藤さんがかわいくリアルに演じてくれて映画が成立した」

 元モーニング娘。の工藤は撮影前に東京オリンピック種目のスポーツクライミングのボルダリングの練習を3カ月受けた。「撮影に入ると真っすぐ部活に励む女の子・小寺ができあがっており、安心して彼女に任せられた。そんなかわいい小寺の姿を同部の四条(鈴木仁)だけでなく卓球部の近藤(伊藤)がいつも見つめている。写真部のありか(小野花梨)やおしゃれ女子の梨乃(吉川愛)も小寺応援団になっている。何も言わずに、小寺がみんなを引っ張っている形がおもしろかった」

 エンディングまで近藤がいつ小寺に告白するかハラハラドキドキさせられる。「近藤は彼女が好きで言えず、小寺はその気持ちが分かるようで分からない。その辺はスリリングで、微妙な時間の間がある。その青春の恋愛の間が映画のテーマでもある。日常の日々を大事に、立ち止まるところがあってもいい。小寺が授業中に鉛筆削りではなく、ナイフでゆっくり鉛筆を削っているシーンもそんな一場面です」

 古厩監督は長野県出身。奥さんの唯野未歩子は同業の映画監督兼女優。「奥さんの助言も聞いています」



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