来阪catch

政治活動家に2年間密着

ドキュメンタリー映画 「愛国者に気をつけろ!鈴木邦男」
監督 中村 真夕
2020年7月11日

素顔は“歩く民主主義者”

「鈴木さんは任侠の男というところも…」と話す中村真夕監督=大阪市北区の梅田スカイビル
自宅で話す鈴木邦男(C)オンファロスピクチャーズ

 右翼活動家といわれる鈴木邦男(76)の行動に約2年間密着しカメラを向けたドキュメンタリー映画「愛国者に気をつけろ!鈴木邦男」(オンファロスピクチャーズ配給)がシネ・リーブル梅田で上映されている。中村真夕監督(47)は「素顔は“歩く民主主義者”」と表現する。

 中村監督は16歳でイギリスに留学し、ニューヨーク大大学院で映画を学び、2006年に劇映画「ハリヨの夏」で監督デビュー。以後、ドキュメンタリーに転じ、「孤独なツバメたち〜デカセギの子どもに生まれて〜」(12)、被災地福島で撮った「ナオトひとりっきり」(15年)を手がけ、オムニバス劇映画「プレイルーム」(19年)にも参加。「いろいろやったが、ずっと映画を撮るための準備期間だったような気がする」と振り返る。

 新右翼「一水社」の元顧問で政治活動家の鈴木との接点は、中村の父親で詩人の正津勉と彼に親交があったことで、映画「ナオト−」の上映会で初めて出会う。「最初は怖いイメージがあったが、会ってみると全然違って、とても優しい好々爺(や)という感じ。それこそいろいろあったものの、今は右翼、左翼関係なく、宗教にもこだわらず、誰とも付き合い、話をして、仲良くしている。不寛容の時代といわれるのに逆に多くを認め生きている彼を撮りたいと思った」

 撮影前に周囲の人に「赤報隊と女性関係については絶対話さない」と聞いた。「だったら、それをなんとか聞き出そう」とインタビューから撮影を始めた。場所は長年住む高田の馬場の古い木造アパートの一室。「ここで焼き打ちに遭ったり、警察もたびたび来たが、大家さんから追い出されなかった」と述懐する鈴木の顔が苦み走り、そして温厚な笑顔に戻る。「国家は思想を持ってはいかんが、個人はそれぞれ自由に考えていい」という言葉がすがすがしい。

 元オウム真理教教祖の三女、松本麗華、元信者の上祐史浩、元赤軍派で映画監督の足立正生、北朝鮮拉致被害者家族の蓮池透らがまるで隣のおじさんのように話をする。雨宮処凜は「彼は老いたハムスターのようにかわいい」という。「赤報隊のメンバーは…」「僕が独身だったのはなぜか…」の2問についての答えは出るだろうか。鈴木が故人の三島由紀夫、森田必勝、野村秋介に語りかける場面もある。

 中村監督の次回作は福島の「ナオト2」と劇映画のオリジナルを準備中。



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