相沢冬樹と大宮賢悟の酒と肴と男と女

 この連載、酒と肴(さかな)について、私が呑(の)み仲間と呑み屋で語り合う。相方の大宮賢悟氏は、日本酒の素晴らしさを広めようと活動する団体「愛LOVE日本酒」の代表。酒蔵のアドバイザーを務めるとともに、大阪を中心にさまざまな日本酒の催しを手掛ける。彼が語る日本酒の魅力とは? 「食との相性を考えながら飲めるところですね。最高の食中酒です。アテ(肴)とのペアリングこそが醍醐味(だいごみ)です」

王将倶楽部

【王将倶楽部】
大阪市浪速区恵美須東3−4−9
電話06(6556)9464
2020年2月11日

新世界で一番軽い串カツ

たまたま来店した女性2人連れ。日本酒以外でも楽しめますよ
左が令和1BYの純米吟醸、右が平成30BYの純米大吟醸。飲み比べると違いがわかる
「新世界で一番軽い」串カツ5本盛り。これが揚げたてで1本ずつ出てくる

 前回から紹介している「王将倶楽部」。ここの売りは「新世界で一番軽い串カツ」だ。表の看板にもそう書いてある。おまかせ5本盛りを頼むと揚げたてが1本ずつ出てくる。まずは基本の牛カツから。

 私「優しい味わいというか、きめ細かい衣がいいね」、大宮さん「繊細で日本酒と合わせやすいでしょ?」、私「まさに新世界で一番軽い串カツだわ」

 店主の北村周一さんによると、衣に使う粉とパン粉、油、揚げ方、すべてを考え、他の店にない串カツを目指したという。この串カツに合わせたい酒として大宮さんが選んだのが花陽浴(はなあび)(埼玉県)。「私はあまり好みじゃないんですけどね、華やかすぎるんで。でも女子ウケは抜群ですよ」、私「出たよ女子ウケ 笑。大宮さんの選択基準の一つだね」、大宮さん「実はこの前、別の店で今年の新酒を飲んだ時に、去年までと違って香りも味わいも抑えめになっていましたんで、ここの串カツに合うかと」

 そんな話をしていると、店の人が気を利かせて飲み比べ用に去年と今年の花陽浴を両方出してくれた。平成30BY(酒造年度)の純米大吟醸と令和1BYの純米吟醸。まず令和の酒を味わった私「うん? これで抑えめ? 十分に香るけど」、大宮さん「まあ飲み比べて。これは純米吟醸、30BYは純米大吟醸で単純には比べられませんがね」、私「なるほど、確かに30BYに比べると、吟醸と大吟醸の違いを差し引いても抑え気味だね」、大宮さん「それに味わいも少しスマートになっているでしょ。ようやく香水の付け方を覚えてくれたみたいです 笑」、私「またすぐに女性の話みたいに。でもこのお店、何も言わずに飲み比べを出してくれるとはニクいね」、大宮さん「本当に、心をわしづかみです」

 4杯目は店主のオススメ、出身地でもある滋賀県の七本槍(やり)純米活性にごり酒。大宮さん「この蔵は数年前に酒質の方向性が大きく転換しました。活性にごりだけあってシュワッとした感じが実に爽快でしょ」私「これまた揚げ物との相性抜群だよ」

 最後の1杯は統括総料理長、坂井陽子さんのチョイスで、加茂錦(新潟県)の荷札酒純米大吟醸無濾過(ろか)生原酒。大宮さん「ここ数年注目されている酒蔵です。非常に柔らかいタッチのお酒で」、私「つまりこれも女子ウケすると言いたいわけね」、大宮さん「実は蔵元もイケメンで 笑」

 この後串カツはレンコン、えび、しいたけと続き、最後のキスは身も衣もふわっとしてべたっとしていない。まさに新世界で一番軽い串カツ。いや、新世界一ということは大阪一、世界一だろう。私「このお店、酒も料理もレベル高くない? 値段も良心的だし」、大宮さん「ミナミにあったらにぎわうでしょうね」、私「みんな知らんだけや」、大宮さん「大阪中の酒好きに知ってもらいたいですね」

 新世界ジャンジャン横丁に王将倶楽部あり。日本酒のラインアップといい串カツといい非の打ち所のないこの店、オススメです!(相沢冬樹)

(次回は3月3日掲載予定)


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