旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

三重県美杉「北畠神社」を訪ねて

2019年1月14日
少し足を伸ばして北畠神社を散策

 ずいぶん山奥を走っている気分だが、標識は津市とある。三重県美杉〜奈良県杖立の県境に当たるこの地をドライブするのが好きで、こちらへの仕事の際は必ず立ち寄ることにしている。

 一年を通じて、季節の節目を感じる場所である。初参りには川上山若宮八幡宮、春は三多気の桜、夏は坂本小屋でのヤマメ料理、秋は曽爾高原のススキ。妙に懐かしさを感じる風景と里の匂いが好きでよく訪れる。

 今日は「北畠神社」を散策してみたくなり、少し足を伸ばしてみた。北畠神社は津市三杉町上多気にある神社。史跡、多気北畠氏城館跡に鎮座し、伊勢国司として南朝奉護に尽くした北畠顕能を主祭神とする。顕能は、伊勢国司として当地に居城を構え、伊勢北畠家の起源になった人物。織田信長に滅ぼされるまでの230年間、伊勢国司として威を張っていた北畠氏居館跡に造営されたという。

 神社が鎮座するこの庭園は、管領細川高国が造った池泉観賞様式の武家書院庭園と呼ばれるもので、武将の手による庭らしく、素朴で豪放な魅力と、北畠氏の栄華をしのぶことができる。神社を彩る紅葉がとにかく美しい。境内右に北畠一族、家臣を祭る「留魂社」が不思議な存在感を発している。

 徒歩で行ける距離に、町家の家並みという昔ながらの街道がある。ほとんど手が入れられてなく、自然のままの町並みは、一見何の変哲もないが、いにしえに心がはせる思いがする。伊勢神宮と志摩のイメージが大きい三重。隠れた名所は私たちの訪れるのを心待ちにしている気がする。旅はいつも心を豊かにしてくれる。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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