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ラファエル前派の軌跡展 あべのハルカス美術館

2019年10月9日

自然美追求した150点

自然な女性美を追求したロセッティの女性画「シビュラ・パルミフェラ」と「ムネーモシューネー(記憶の女神)」(手前から)
前派の思想を具現化した家具も展示されている

 1848年にイギリスの画学生らを中心に結成された芸術家集団「ラファエル前派」の作品を集めた「ラファエル前派の軌跡展」が、大阪市阿倍野区のあべのハルカス美術館で開かれている。活動を支持した美術評論家のジョン・ラスキンの作品をはじめ、集団の誕生から交友、その後の展開までを絵画や書籍、ステンドグラスなど約150点で振り返っている。

 「ラファエル前派」は、イタリア・ルネサンスの巨匠であるラファエロ・サンティ(英語名・ラファエル)に固執する当時の美術学校の方針に反発すべく結成。ラファエロ以前の素朴で自然のありのままを表現する芸術を目指し、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティやジョン・エヴァレット・ミレイ、ウィリアム・ホルマン・ハントが主要メンバーに名を連ねた。

 同展では、世間の批判にさらされたラファエル前派の活動を全面的に擁護したラスキンの活動も紹介。第1章は「ラスキンとターナー」と題し、ラスキンが敬愛したイギリスロマン主義の画家ターナーとラスキンの作品を展示している。

 「現代画家論」で知られるラスキンだが、会場には著書のためにスケッチした建造物や風景画を展示。自然に忠実で精微なタッチが目を引く。

 第2章「ラファエル前派」ではミレイの「滝」をはじめ、主要メンバーの作品を展示。岩場にたたずむ女性と水の流れ、背後の岩肌や木々を忠実に描いた「滝」は、前派の目指したものが色濃く反映された作品ともいえる。また、ロセッティの女性画「ムネーモシューネー(記憶の女神)」など日本初公開の作品もあり、展示の一部は撮影が可能になっている。

 第3章は前派の影響を受けた画家たちの作品を集めた「ラファエル前派周縁」、第4章に前派の第2世代を担った「バーン=ジョーンズ」と続く。最終の第5章は、前派の思想を家具やステンドグラスなどの生活を彩る装飾品で具現化したウィリアム・モリスを紹介している。

 1853年に解散した前派は、モデルの女性を含めて交友関係が複雑。会場では人物相関図を表示し、解説している。

 同展はラスキンの生誕200年を記念して開催。同館学芸員の新谷式子さんは「ラスキンの考え方が後世に投げられた先でどのように変化し、影響を与えたのか。ラスキンの思想の軌跡を追う展覧会でもある」と解説している。

 12月15日まで。観覧料は一般当日1500円など。



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