トレンド特急便

あいりん地区で異彩放つ クラシック音楽バー「ココルーム」

2019年11月27日

著名人に世界の美女、客層は多彩

畳の上に設置されたオーディオセット、レコ ード、CDの前に座る佐竹さん
お酒と本が並ぶカウンター席の一画

 大阪市西成区山王1丁目にオープンした「クラシック音楽バー ココルーム」が不思議な存在感を示している。日雇い労働者のまちとして知られ、労働者の高齢化で福祉のまちへと変貌し、インバウンド(訪日外国人客)の増加で新たな変化が進むあいりん地区(通称・釜ケ崎)の一画で2016年に誕生。異彩を放ちながらもまちに根づいている。爆音でクラシックが流れる中、釜のおっちゃん、世界の美女たち、クラシック音楽界の著名人など多彩な客層が集まり、貴重な地酒を楽しむこともできる。店主の佐竹昭彦さんの人柄もあり、店は多様で混沌(こんとん)とした独特の雰囲気を醸し出す。

 店頭に張り出されたクラシック関係のポスターに引かれて店内に入れば、左側のカウンターには酒類の瓶と書籍が並ぶ。右手のテーブル席の向こうには、佐竹さんが中学時代から集めたクラシック音楽のCDが大量に入ったボックス。店内には約4千枚が置かれており、リクエストに応じて、奥に設置された200万円相当のオーディオセットで流してくれる。

 リクエストが多い曲の一つはシューベルトの「魔王」。佐竹さんのお薦めの音源はバイオリン独奏編曲のクレーメルと、ピアノ独奏編曲のカツァリスの超高速演奏だ。

 爆音で入手困難なクラシック音楽が聴けるとあって、マニアが集まるようになり、音楽談義で盛り上がることも多い。時には指揮者の坂入健司郎氏やピアニストの法貴彩子氏ら著名人が訪れることもあるというから、趣味の域を超えている。

 長年クラシックを愛好する堺市在住の男性(51)は「演奏家に顔向けできる場所」として自身のコレクションを同店に寄贈する。佐竹さんのクラシックの知識について「深くて広い。(贈ったものを)処分してくれても構わない」と絶大な信頼を寄せる。

 一方で、初対面なのに「ツケで飲ませろ」や、宝くじの券で支払おうとする客に説教するなど、酔客が多い場所ならではのエピソードも多数。そうかと思えば「釜のおっちゃん」の中にもクラシック好きがいるし、スーツにネクタイで読書に訪れる男性など、カラオケ店ひしめく一帯で、文化の薫りに誘われて訪れる人も少なくない。

 現在、来店客の6割がリピーターで、1割が外国人。中国、アメリカはもちろん、フランス、フィンランド、リトアニアなど「世界各国の美女たちも数カ月に一人の確率で現れる」という。

 営業は毎週木曜日の午後7時半〜同11時、金土日は午後4時〜同11時。月火水は要電話予約。問い合わせは電話090(3862)1567。



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