トレンド特急便

発達障害100人の声 製品に

2020年3月11日

「mahora」販売開始 ノート製造の大栗紙工

発達障害の特性に沿いつつ“誰でも使いやすいノート”「mahora」を販売する大栗社長(前列右)と開発に携わった社員
淡い黄色を使った「レモン」(手前)とラベンダー色で帯かけにした「ラベンダー」

 ノート製造の大栗紙工(大阪市生野区、大栗康英社長)は、発達障害の当事者100人の声から生まれたノート「mahora(まほら)」の販売を始めた。中紙にちらつきやまぶしさを抑えた国産色上質紙を採用し、けい線の太さや幅を工夫したノートは、シンプルで使い方は自由自在。障害を包み込み“誰もが使いやすい”ノートとして注目を集める。

 大栗紙工は1930(昭和5)年の創業。受託生産を主事業とし、コクヨノートをはじめ年間2500万冊を製造する。一方で、昨年自社ブランド「OGUNO(オグノ)」を設立。情報発信のセミナーでの「発達障害者のためのノートを作ってみませんか」との提案が、「mahora」の始まりだった。

■当事者に聞き取り

 発達障害の当事者自助グループ「UnBalance(アンバランス)」(同市平野区、元村祐子代表)の協力を得て、当事者に聞き取りを行うと「紙の反射がまぶしい」「(右上の)No.とDateが気になって集中できない」「いつの間にか行が変わってしまう」との声が上がった。

 「長年、ノートを気持ちよく使ってもらっていると思っていた。不便を感じているとは本当に驚いた」と大栗社長。紙の質や色、けい線の濃淡や幅を変えたサンプルを作り、アンケートを行った。声を寄せた当事者は100人を超えた。

 製品化したのは、淡い黄色の紙に太い線と細い線が5ミリ間隔で交互に入った「レモン」と、薄紫色の紙にあみかけの帯が8・5ミリ間隔で入った「ラベンダー」の2種類。「レモン」は、2行を使って大きく文字を書いたり、ふりがなを振りやすくした。上下と真ん中のけい線には1センチごとに印が入り、表も作りやすい。「ラベンダー」は、線が気にならずに絵や図を自由に書くことができる。

■人生左右するもの

 視覚のほか、嗅覚や聴覚の感覚過敏は発達障害の代表的な特性の一つ。ただ、だからこそ「感覚の違いは他人と比べられない。しんどさを説明できずに自分を責める当事者が多い」と元村さん。ノートを開くことさえ苦痛になり、次第に学習自体から遠ざかる事例は多い。元村さんは「ノートの問題は簡単なようで、人生を左右するもの」と言い切る。

 2月末の販売以降、「子どもがノートを書くようになった」「字のバランスが取りやすい」との声が届く。大栗社長は「自分たちが思っていたのと違う使い方をしていたり、気持ちよく使ってもらってうれしい」と喜ぶ。

 「mahora」の由来は、住みやすい場所などを意味する古語の「まほろば」。元村さんは言う。「発達障害者は昔からいて、『変わったやつ』と言われながらも居場所はあった。今は、人と違うと排除される風潮がある。しんどい人が使いやすいことは、みんなにとって使いやすいことでもある。選択肢が増えることはいいこと。ノートがその一つであってほしい」

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 「mahoraノート」は1冊280円(税込み)。大栗紙工の特設サイトで販売中。



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