トレンド特急便

独自ブランド「絆具(つなぐ)」立ち上げ

2020年8月19日

千日前道具屋筋商店街 職人と連携、商品化

「絆具」ブランドの「燗銅壺」を持つ和田専務(左)と、「冷香」を持つ千田専務
「絆具」第1弾の京都亀岡産「天然砥石」

 プロの料理人や飲食店向けの料理道具専門店が連なる「千日前道具屋筋商店街」(大阪市中央区、千田忠司会長)が、各地の職人と連携して商品開発を行う独自ブランド「絆具(つなぐ)」を立ち上げた。安価な商品が大量生産大量消費されていく現代、先人たちの知恵と技で築き上げた料理文化を未来へつなぐ試みだ。

 ミナミの中心に位置する千日前道具屋筋商店街。明治時代に四天王寺や今宮戎(えびす)神社への参道として栄え、昭和に入ると、料理道具専門店街として形成された。名実ともに大阪の食文化を支える存在でもある。

 近年は海外からの観光客が多数訪れる一方で、生活雑貨の大型量販店やインターネットの波に押され、店で買い物をする日本人客は減少。同商店街の田部誠事務局長(64)は「店でしか買えなかった物がネットで買える時代。店が展示場になっている」と嘆く。

 危機感を募らせた二代目や三代目の若手が中心となり、商店街として独自の物をつくろうと、昨年「絆具」を発足させた。

■現代風にアレンジ

 第1弾は、「堺一文字光秀」をはじめ、堺刃物を扱う「一文字厨器」による京都亀岡産の天然砥石(といし)。現地で130年の歴史がある砥取家が、採掘から加工まで職人の手作業で仕上げた。

 続いて、今年3月に「和田厨房(ちゅうぼう)道具」が、焼き物と熱かんが同時に楽しめる江戸時代からの調理道具「燗銅壺(かんどうこ)」を現代風にアレンジして発売。炭を燃やす炉部分と、とっくりやちろりをつける貯湯部分に分かれた物だが、炭を囲む銅はそのままに、胴体部分をステンレスに置き換え、手入れをしやすくしたのが特徴だ。

 「先人たちが考えた道具は理にかなっている。古くなった物の良さを改めて知ってもらう機会になれば。ベランダや庭で気軽に使ってほしい」と同店の和田佳文専務(42)。貯湯部分でチーズを溶かしたチーズフォンデュもおすすめだという。

■伝統と文化知って

 7月には「千田硝子食器」が、アイスコーヒー専用の錫(すず)製タンブラー「冷香−れいこう−」を販売。熱伝導に優れて口当たりがまろやかな錫は、酒器としてファンが多いが、今回は錫器ではめずらしい丸いデザインで女性を意識した。製造は伝統工芸の「大阪錫器」が手掛け、上下別の鋳型の接合部を感じさせない匠の技が光る。

 商店街の青年部長でもある千田彰宏専務(42)は「安価な大量生産品と店の商品では、これまで差があったが、今は区別が付きにくくなっているのは確か。その差をどうアピールするかが課題だが、道具に対して伝統、文化があることを知ってほしい」と話す。



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