トレンド特急便

時代に対応、次の100年見据え

「平岡珈琲店」が創業100年
2021年3月31日

焼きドーナツとドリップバッグ 自信作を商品化

店を手伝っている講談師の旭堂南春さん(右)を見守る3代目店主の流水さん。「レガシーを残すために若い世代の方らとチーム戦でやってます」
開発に1年を要した「焼きドーナツ〜100th premium〜」

 大阪・本町にある喫茶店「平岡珈琲店」(中央区瓦町3丁目)が今年、創業100年を迎えた。大正に産声を上げ、激動の昭和、平成を経て令和へと歴史を紡いできた節目に、看板商品のドーナツとオリジナルブレンド「百年珈琲」のドリップバッグを初めて商品化した。「レガシーを残すため、時代に合わせて変わっていく」。視線の先にあるのは「次の100年」だ。

 大阪の大動脈・御堂筋を東に入る。ビジネスマンがせわしなく行き交う中、白い丸い屋根が目印の同店がたたずむ。店内はコーヒーの香りが漂い、時計の秒針の音だけが規則的に響く。「店は日常を過ごす場所。都会の中に落ち着ける空間を作りたい」。3代目の小川流水(りゅうすい)さん(63)は、にこやかに迎えてくれた。

 

■名店直伝の味

 同店は1921(大正10)年、銀座の「カフェ・パウリスタ」のドーナツとコーヒーに魅了された初代・小川忠次郎が妻とともに北船場(中央区)に開店。千葉県・木更津のしょうゆ醸造家の次男だった忠次郎は、駆け落ち同然で結婚したため、妻の旧姓「平岡」を屋号にした。

 以来、「カフェ・パウリスタ」直伝のドーナツ、コーヒーは自家焙煎(ばいせん)の豆を1杯ずつ煮だして布でろ過する「ボイリング法」を守り続けている。

 

■1年かけ開発

 流水さんは、28歳の時に広告代理店を辞めて店の仕事に専念。調理師資格を取得し、大型の焙煎機を導入した。80年代のバブル期は1日の客数は150人を超えたが、コンビニの台頭が時代の流れを変えた。「今は求められるものが多く、個人経営は難しい。業態を変えないと存続は難しい」と流水さん。家族経営から幅広い世代、業種と“チーム戦”での経営を模索し、自社商品の開発とインターネット販売(ECサイト)に活路を見いだした。

 「焼きドーナツ〜100th premium〜」は、創業当時から受け継ぐ国産小麦と卵と砂糖のレシピを守りつつ、日持ちとヘルシーさを追究し、“揚げ”から“焼き”に転換。開発に1年をかけ、しっとりとした食感と口溶けを求めた。「百年珈琲」は、甘みのあるグアテマラ産と香り高いコロンビア産、酸味のあるジャワ(インドネシア)産のオリジナルブレンド。「平岡のイメージを大切にしつつ、令和の新しいドーナツ」との自信作だ。

 「創業してから、戦争や不況、万博や五輪のたびに人々の生活が変わった。その時代に合わせて変化したからこそ、100年続いてきた。次の100年を迎えるために、時代に合わせて変わり続けないといけない」。伝統をつなぐ1杯のコーヒーは、未来へ時を刻む。

 

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 4月1、2日は店頭で新社会人にドーナツとドリップバッグを無料プレゼント(各日先着50人)。



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