トレンド特急便

アパレル老舗の挑戦 三恵メリヤスと九櫻

2021年4月7日

自社の強み、新たな事業に

「EIJI」のTシャツを手にする三木専務
刺子生地の商品を紹介する桂プロジェクトリーダー(左)と吉本はるかさん

 新型コロナウイルス禍での飲食店の苦境に注目が集まるが、外出機会の減少で衣服の需要が減少したアパレル業も深刻な状況だ。東京商工リサーチ関西支社によると、近畿2府4件の新型コロナ関連の倒産件数は3月に200件(負債1千万未満を含む)を突破。業種別では飲食業の55件が最多だが、次に多かったのはアパレル業の28件。苦境にあえぐアパレル業界にあって、自社の強みに付加価値を付け、新たな事業を育む2社を紹介する。

■人生で最高のTシャツ

 世界最高峰と言われるオーガニックコットン、アルティメットピマを100%使用したオリジナルTシャツ「EIJI」を展開する三恵(さんけい)メリヤス(大阪市北区)。1926年創業の同社が、「人生で最高の一枚を」とアピールする単価1万円のTシャツで、手掛けるのは同社の三木健専務だ。

 高級シャツに使用される80番手という細くよった糸を、濃密に目がつまった40ゲージで編み込んで「なめらかな肌触りとふわっと軽い着心地、着れば着るほど肌になじむ」EIJIならではの特徴を出す。

 商品はベーシックのほか、着丈、袖丈、身幅、肩幅のサイズを選択できるフルオーダー、サイズ表から着丈と身幅を選べるパターンオーダーを用意。生涯保証付きで、縫製のほつれなどの修理、裾や袖の糸切れなどにも対応する。

 糸から縫製まで信頼できる地場のネットワークで生産しており、「今の大阪の最高のスペック。一つのものが大切にされ、長く愛されるものづくり」(三木専務)を心掛けた結果、大手百貨店での販売、映画キャラクターの限定品製作など評価は着実に高まっている。

■柔道着生地のパーカー

 柔道着メーカーの九櫻(くざくら)(柏原市)が柔道着に用いる刺子生地で作るのはTシャツにパーカー、ブルゾンにマスク。1918年創業の同社は生地から生産までの一貫生産する唯一の柔道着メーカーとして信頼を得ていたが、100周年を迎えた3年前、次の100年を見据える商品開発に乗り出して誕生したブランド「九櫻刺子(くさくらさしこ)」だ。

 「刺子生地はゴワゴワしたイメージがあり、当社の肌触りの良さ、しなやかさと風合いを伝えたい」という桂恵美プロジェクトリーダーの思いを、クリエイティブ産業の振興に取り組む「クリエイティブネットワークセンター大阪 メビック」を通じて知り合った、「ブルーファーム」の裏家健次ブランディングプロデューサーが受け止め、刺子生地の可能性を広げていく。

 肌触りの良さを知ってもらうためのTシャツからスタートし、パーカーはクラウドファンディングサイトのMakuake(マクアケ)で1位を獲得した。

 中小企業診断士の永井俊二さんは「自社ブランドでオリジナリティーがあり、顧客にとって付加価値の高いものを作っており、地場産業の活性化につながる」と評価する。



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