トレンド特急便

唯一現存 古民家残して

日本民家集落博物館
2021年5月22日

クラファンで修復費募る サイト「レディー フォー」 31日まで 

傷んだ屋根のふき替え作業
寄付を募っているクラウドファンディングのサイトの一部

 日本各地の代表的な民家を移築復元した野外施設「日本民家集落博物館」(豊中市)を運営している大阪府文化財センターは、施設内の国指定重要文化財「信濃秋山の民家(旧山田家住宅)」の修復工事の費用を巡り、クラウドファンディングで寄付を募っている。新型コロナウイルス禍で来館者数が激減し、修復に充てる費用の確保が厳しいという。「日本の原風景を未来に残すため、力を貸してほしい」と協力を呼び掛けている。

 同博物館は、岐阜・白川郷の合掌造り民家が1956年、関西電力から寄贈、移築されたのを機に誕生。その後、関西財界や各社の尽力で、岩手・南部から鹿児島・奄美大島まで、各地の民家が集まる野外博物館となっている。

 

■江戸期の姿伝える

 旧山田家住宅は、長野県最北端の村にあった民家。61年に移築され、江戸期の建築当初の姿に復元した。

 柱は礎石を使わず、地面に掘った穴に直接立てる縄文時代以来の方式「掘立柱」。壁材は、屋根のかやぶきで知られる「かや」を使っているのが特徴という。この二つの要素を満たす江戸期の建物としては、日本で唯一現存。同博物館の井藤徹館長は「極めて古い姿を残した貴重なもの」と指摘する。

 ただ、保存には定期的な修復作業が不可欠。かやぶきの耐久年数は20〜30年とされる中、ほとんど手入れができないまま30年が過ぎ、屋根の厚みは3分の2程度にまで減っていた。

 中に埋まっていた押さえ用の竹が飛び出したり、雨水を処理しきれなかったりと、建物の傷みがひどかったのを踏まえ、新型コロナ禍前から修復を計画。かやの屋根と壁の全面ふき替えで費用は総額7700万円に上り、「今後数十年、建物を維持するための大切な工事」(井藤館長)という。

 

■外国人来館者1割に

 そんな中、費用の一部として確保予定だった入場料などを巡り、新型コロナ禍が直撃。同博物館は近年、「古き日本の原風景」を知るための施設として海外からも注目され、年間2千人を超える外国人客が来館していたが、2020年度は例年の10%程度まで減少した。経済の低迷から寄付収入も大幅に減ったという。

 それでも、建物の損壊状況から修復を決断。20年度から着手し始め、工事は本年度末まで行う予定だ。

 そこで、費用について広く力を借りようとクラウドファンディングの活用を決意。寄付の募集をサイト「レディーフォー」で5月31日まで実施している。目標金額は500万円だが、まだ達成していない状況。

 寄付金の額に応じて、記念はがきや記念写真集をはじめ、工事用足場の見学から旧山田家住宅の古里にあたる長野県の食文化を味わえるセットまで、多彩な返礼品を用意している。

 大阪府文化財センターの坂井秀弥理事長は「貴重な日本文化の保存継承のため、皆さまのご支援、ご協力を切にお願いする」と呼び掛けている。



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