Voice(ボイス)

 大阪を舞台に活躍している“旬な人物”にスポットを当てた大型インタビュー企画「Voice」。それぞれが抱く思いとは。今後の大阪や次世代へ贈るメッセージを語っていただく。

「OSAKA AID(大阪ええど)」発起人 梅田 りささん

2021年2月11日

コロナ影響の店支援 阪神大震災教訓に「助け合い」

「OSAKA AID」のパンフレットやチラシ

 新型コロナウイルス禍の影響を受けた大阪市内の飲食店やショップ、ホテル、美容室などの支援プロジェクト「OSAKA AID(大阪ええど)」が昨年8〜11月に行われた。発起人の梅田りささん(58)は神戸市出身。1995年の阪神大震災で実感した「助け合うことの大切さ」を教訓にしたそうだ。プロジェクト名の「AID」は文字通り「援助」の意味だが、「ええど」には大阪弁の「ええ(良いの意味)」が掛かる。つまり、「OSAKA AID」から「大阪ええど」へ“進化”する理想を掲げていた。

■あかるクラブ

 やしきたかじんさんを中心に、2009年誕生した「OSAKAあかるクラブ」が主催する「大阪グレートサンタラン」は、サンタクロースの衣装を着て大阪城公園をランニングし、その参加費を、病院でクリスマスを過ごす子どもたちへのプレゼントに充てる名物イベントだ。

 私も同クラブの理事だけれど、天候に左右されるチャリティーイベントだと、毎年確実にクリスマスプレゼントを贈れない。そこで、室内でも参加できる「サンタバル」を17年に始めた。支援者が、参加店から500円で購入したリストバンドを付けて期間中に来店すれば、お得なメニューを注文できる。リストバンドの売上金がプレゼントの購入資金になっていた。

 しかし、参加店の間で「今回はおもちゃを届けることができません。お店を閉店するかもしれません」と悲鳴が上がった。新型コロナ禍で、大阪が焼け野原になってしまうと危機感を覚えた。みんなで助け合うイベントができないかと考えたのが「OSAKA AID」だ。

■商売人魂呼び起こす

 「OSAKA AID」の運営費は、インターネットを通じて広く資金を集めるクラウドファンディングを活用した。この結果、1036人から総額1211万7千円が寄せられた。「大阪を元気にしたい」という熱い思いを持った多くの人たちの協力を得ることができた。

 寄付してくれた人たちに対しては、「ピンク色」のAIDカードを引き換えに送った。一方で、参加店では「白色」のAIDカードを500円で販売し、支援者を募った。このピンクや白のAIDカードを提示すれば、参加店でお得なメニューを注文したり、買い物やサービスを受けることができた。8月8日から11月30日までの期間中、大阪・キタからミナミまでの御堂筋沿いや京橋エリアなどで440店舗が参加した。

 参加店のオーナーからはこんな声が届いた。「このイベントに参加すると話したら、アルバイトのスタッフに喜ばれた。スタッフは『店を閉める』『アルバイトを削減する』といったシビアな話があると身構えていただけに、オーナーとしての私のやる気を感じてくれたようだ。スタッフのモチベーションを高める大切さに気づいた」との内容だった。

 「OSAKA AID」を実施して良かったと思う。参加店は商売人魂を呼び起こし、強くなったのではないか。

■ライブハウス救う

 私は阪神大震災で被災し、大阪に移住して商売を始めた。結婚し、子育てし、大阪という地域に恩返ししたい思いが強くなっていった。私が経営するレストランバーのある大阪市西区で開いたハロウィーンイベントをきっかけに、地域で清掃活動や防災訓練のボランティア活動を広げた。阪神大震災の被災時に助け合うことの大切さを実感したからだ。

 今のコロナ禍は、被災時と同じような状況だと感じる。阪神大震災発生から半年、1年がたつ中で自殺者が相次いだ。生きる希望を見つける必要がある。絶望から、はい上がるための大きなうねりを作らなければいけない。協力し合える関係をみんなでつくりたいと思う。

 この春には「OSAKA AID LIVE」を実施する。昨年3月、京橋エリアのライブハウスで小規模なクラスター(感染者集団)が確認された。人命を救うため店名を公表したライブハウスの決断を無駄にしてはいけない。音楽を愛する人たちの力でライブシーンを救いたい。そんな思いでこのプロジェクトに臨む。また、庶民の味のラーメン店を守るプロジェクト「OSAKA AID×ラーメンサーキット」も準備中だ。

■向かう先は25年万博

 新型コロナが収束しても、「OSAKA AID」の機能が大阪を元気にするために活用できればと考えている。25年大阪・関西万博の第2会場として「大阪の街」が参加し、「OSAKA AID」から「大阪ええど」へ進化していくことを理想としている。

 最後に一言。新型コロナ感染拡大に伴う営業時間短縮要請の行政支援について、現状の一律支給には不公平感がある。飲食店と取引のあるおしぼり業者、酒店など関連業界にも目を向けてほしい。経済の循環を切ってはいけない。官はもっと民の話を聞いて動いてほしい。

 うめだ・りさ 1962年、神戸市生まれ。大阪市西区北堀江でレストランバー経営、同市中央区宗右衛門町で日本酒場経営。西区商店会連盟「堀江の会」会長。街プロダクション代表。一般社団法人「OSAKAあかるクラブ」理事。座右の銘「作業するな、仕事しろ」。好きな言葉は宮沢賢治の「雨にも負けず、風にも負けず」。
 
【OSAKA AID】 「大阪の街を救済! 大阪が好き! 大阪のお店を応援したい!」を合言葉に昨年8〜11月実施。大阪市の御堂筋沿いを中心に440店舗が参加した。支援者はAIDカードを提示すると、お得なサービスを楽しめた。実行委員会は復活祭をはじめ、2025年大阪・関西万博に向けてさまざまな企画を練っている。ホームページのアドレスは次の通り。https://osaka−aid.com/


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