Voice(ボイス)

 大阪を舞台に活躍している“旬な人物”にスポットを当てた大型インタビュー企画「Voice」。それぞれが抱く思いとは。今後の大阪や次世代へ贈るメッセージを語っていただく。

国際ロータリー第2660地区ガバナー 吉川 秀隆さん

2021年11月4日

 奉仕活動など全世界で活動している国際ロータリー。大阪府北部のクラブが所属している第2660地区の本年度のガバナーにタカラベルモントの吉川秀隆会長兼社長が就任した。新型コロナウイルスの感染拡大など社会情勢が大きく変革していく中で、ロータリーの精神に基づいた社会貢献を目指している。

■ロータリーの精神

 国際ロータリーの創設は1905年、ここ大阪では22年に日本で2番目となる大阪ロータリークラブが創立された。このため第2660地区は2022年に創立100年を迎える。大阪の地で数多くの業績を重ねた先人、先輩方のおかげだと感じている。その節目の年にガバナーという重責をいただき、身が引き締まる思いだ。

 そもそもロータリーと関わりを持つきっかけになったのは父親が入会していたことから。父を通じてロータリーの意義、考え方などを知り、興味を持っていた。父が亡くなった直後、父の友人を通じて、入会することになった。

 ロータリーは五つの中核的価値観で構成されている。奉仕、親睦、多様性、高潔性、リーダーシップだ。具体的な活動としては世界中のロータリーが35年以上にわたりポリオ(小児まひ)撲滅に取り組んでおり、日本独自の取り組みでは海外からの留学生に奨学金を支給する米山奨学制度がある。当地区でも毎年、日本赤十字社の献血などの活動を続けているが、活動の根底にあるのは毎週開かれる例会での会員間の親睦と交流だ。

 国内外の環境が大きく変革している中で、21、22年度国際ロータリー、シェカール・メータ会長(インド)は多様性に焦点を当て、女子のエンパワメント(地位や尊厳の向上)に取り組むと述べている。当地区でも女性会員の割合を増やし、能力を発揮できる組織にしていきたい。

 女性だけでなく、LGBTをはじめとする性的マイノリティーへの支援なども取り組みたい。社会全体として環境問題を含めたSDGs(国連の持続可能な開発目標)への意識も高まる中、ロータリーではすでに実施している事業もあるが、さらに推進していく。

■子ども支援に注力

 とりわけ当地区で本年度、重点を置いているのが子どもたちへの支援。経済格差が拡大し、学びの場が損なわれ始めている中、未来に期待をもって自分のことを考えられる環境が失われつつある。子どもへの支援は地域のエンパワメント、本来持っている能力向上を図ることにもつながる。

 貧困家庭への支援は、行政や他団体も取り組んでいる。支援の方法としても線引きの問題など、直接的、継続的に携わるのは難しいこともあるだろう。

 しかし、これまでのセーフティーネットでは助けられない子どもも存在している。人口減少の中、地域、社会の宝である子どもの能力を高めることは大切だ。社会奉仕、青少年奉仕活動という位置付けになるが、これはロータリーの精神である「超我の奉仕」という奉仕理念に合致したものだと考えている。

 具体的な方法は当地区に79ある各クラブの実情などに合わせて行うことになるが、学校外での支援を実施したい。課外活動として、塾や習い事と同様、子どもたちに経験や機会を与えることで成長の一助にしていきたい。

 ただ、大きな壁となるのが、新型コロナウイルスだ。ワクチン接種率が7割を超え、医療体制、感染者数などは大きく改善しているが、まだまだ予断を許さない状況であることは間違いない。その中で一助となるのがIT技術だろう。自分の五感で実際に体験できることがベストだが、自宅にいながら安全に体験できる仕組みも整ってきたと感じている。

 この2年、新型コロナウイルスを経験し、未知のウイルスを含め、これから先の活動の在り方については見直しが必要になるだろう。ロータリーが今後も社会に貢献できる組織であり続けるためには、どのような時でも活動できる基盤がなければならないが、幸いにも過去の先輩方が世界中で取り組んだノウハウが蓄積されていることは大きな強みだ。

■ロータリーの輪、広げる

 活動を進めていく上で重要となっているのがクラブとしての基盤、会員数だ。直近の17年間、全世界の会員数は約120万人にとどまっている。メータ会長は本年度末には130万人にしようと呼び掛けている。

 日本の会員数は9万人弱で、当地区では3500人前後。ここ25年間で2千人近く減少している。17年度から地区中期目標として「各クラブでの純増1人」を掲げた。本年度はその最終年度となるので、積極的に取り組んでいる。

 前述の通り、女性の会員を増やすと同時に、若い人への訴求も必要だ。18歳以上の男女なら参加できるローターアクトクラブという組織がある。もっと緊密に連携し、将来の会員育成を見据えて活動していく。

 当地区ではローターアクト会員だった女性が、会社を設立してロータリー会員になったケースがある。ロータリーの奉仕の精神は、社会課題解決への意識が高い若者にも響くのではないだろうか。

 メータ会長は本年度のテーマとして「奉仕しよう。みんなの人生を豊かにするために」と掲げた。新型コロナで世界中の人の生活が一変。従来の常識や価値観までもが揺らぎ、貧困をはじめ、さまざまな問題が噴出した。今こそ、ロータリー、ロータリアンの役割が重要になっている。

 活動は地域を通して、認知度、公共イメージの向上につながる。今年は先人たちが築いてきた100年の歴史を、次の100年につなげる1年でもある。「みんなの人生を豊かにするため」に会員の皆さまと共に一歩ずつ歩みたいと心から願っている。

(聞き手は椎葉直)
 【国際ロータリー第2660地区】 地区とは、管理の便宜上まとめられた一定の地理的区域のこと。世界では535、日本では34に区分されている。第2660地区は大和川を南限とした大阪府北部の79クラブにより構成されている。

 よしかわ・ひでたか 1949年生まれ。大阪市出身。日本大学経済学部卒。90年、大阪RC入会。同RC2013〜14年度副会長・15〜16年度会長を歴任し、21〜22年度現職。タカラベルモント(大阪市)会長兼社長。在大阪チリ共和国名誉領事も務める。20年には経済産業省の推薦により旭日小綬章を受章。


サイト内検索