Voice(ボイス)

 大阪を舞台に活躍している“旬な人物”にスポットを当てた大型インタビュー企画「Voice」。それぞれが抱く思いとは。今後の大阪や次世代へ贈るメッセージを語っていただく。

日本たばこ産業(JT)大阪支社長 辻 敦生さん

2022年1月1日

新年の抱負は「芽」 コロナ禍乗り越え前へ

Vリーグ2連覇を遂げたJTマーヴェラス=JT提供

 日本たばこ産業(JT)大阪支社の支社長に2021年1月就任した辻敦生さん(52)だが、この1年間は、新型コロナウイルス感染予防のため、外交自粛の日々だった。昨年を漢字一文字で表現すると「籠」。会社や自宅に籠(こ)もる生活から抜け出す願い込め、新年の漢字として「芽」を挙げた。バレーボールのVリーグで女子2部から1部へ昇格し、2連覇を遂げた「JTマーヴェラス」のように、厳冬を乗り越え、芽吹く春に思いを巡らせている。

■マーヴェラスと一体

 Vリーグ男子1部のFC東京廃部の報が昨年12月に入った。今季限りで活動を休止する。他のチームとはいえ、衝撃は大きかった。私たちJTは、女子のマーヴェラスと男子のサンダーズ広島を持ち、地域社会とつながっている。このつながりを保つ上で、企業がスポーツチームを持つ意義は大きい。

 選手にとって、試合に勝つことが第一だが、地域にどれだけ愛されるかということも大切だ。そのためには企業とチームが一体でなければいけない。その意味で、大阪支社を拠点とするマーヴェラスは、大阪市と包括連携協定を結び、さまざまな活動を続けている。

 例えば、市環境局と連携し、ポイ捨て禁止ポスターを作製、関係各所に掲示いただいている。市こども青少年局とも一緒になって、オレンジリボンキャンペーン(虐待防止)を訴えている。また、地元の北区役所と企画し、中学生をホームゲームに招待した。練習場がある兵庫県西宮市でも交通安全PR動画に出演するなど、地元とのつながりを重視している。

■はい上がった選手たち

 実は、マーヴェラスの選手たちには「体育会」のような厳しい上下関係はない。練習はどこよりも厳しいが、コート外ではとにかく、仲が良い。吉原知子監督が就任した2015年、マーヴェラスはVリーグの2部に降格していたが、そこからはい上がっていった。その過程で、チームが一つになっていったと思う。3連覇を目指す今季は、若手選手の台頭もあり、チーム全体の底上げにつながった。現在は13勝1敗で首位を走っている。

 1月29、30日には大阪市の住吉スポーツセンターでホームゲームがあるので、足を運んでほしい。会場で観戦すると、選手たちの発する熱量が伝わってくる。これは、テレビ観戦では味わえない。もう一つの醍醐味(だいごみ)は、観客席の一体感だ。視線の先が同じで、プレーの一つ一つに一喜一憂する。同じチームを応援しているという共通点もある。観戦すれば、コロナで失われたもの、つまり、人と人のつながりを感じることができる。

 昨年は無観客試合が続いただけに、選手たちにとっては、観客が多ければ、やりがいが増す。私自身、学生時代はアメリカンフットボール部に所属していたので、試合後は、マーヴェラスの選手たちに精神的なアドバイスをする。お菓子を買って来て、元気づけることもある。先ほども話したが、企業とチームは一体だ。私は、マーヴェラスを、同じ志を持つ戦友という感覚で接している。

■目指す先に共存社会

 私たちの商品である「たばこ」は、世の中から厳しい目で見られることが多い。個人の判断で愉(たの)しむ「大人の嗜好(しこう)品」だが、一方で、健康に対するリスクをはじめ、たばこを吸わない人たちにとっての煙、臭いはしばしば迷惑なものになる。こうした迷惑を減らしていくことが私たちにとってとても大事だ。

 いま、加熱式たばこの需要が増えている。火を使わず、専用の機器で葉タバコを加熱し、発生する蒸気を愉しむ商品だ。煙の臭いがせず、灰も出ない。コロナ禍で在宅勤務を余儀なくされた愛煙家からは、家族に迷惑を掛けずに愉しめるという声が上がった。

 JTが昨年8月に発売した加熱式たばこの新商品「Ploom X」は、加熱温度が従来モデルよりも50度以上高く、使用するスティックも改良を重ねた。競合他社に比肩する「吸いごたえ」を実現したと思っている。これからも周囲への迷惑を軽減できる商品の開発や研究を続け、たばこを吸う人、吸わない人が共存できる社会を実現したいと考えている。

■間伐材で「SDGs」ピンバッジ

 JTは、「ひろ街(まち)」と題した清掃活動を2004年に始めた。「ひろえば街が好きになる運動」の意味だ。ひろ街を含めたJTの社会貢献活動を「Rethink PROJECT(リシンク・プロジェクト)」と呼んでいる。地域の課題に対し、パートナーシップを組んで共に考え、行動する。視点を変えて物事を考える(リシンクする)ことで、世の中に存在するヒト、モノ、コトの価値を認め、互いに尊重し、理解し合う。そんな社会も目指している。

 大阪支社管内の「JTの森・中辺路」(和歌山県田辺市)では、JT社員が森林整備に取り組んでいる。間伐材の「アップサイクル」製品を手掛け、紀州材のPRにつなげている。私が身に着けている「SDGs」ピンバッジも「JTの森・中辺路」の間伐材を加工した製品だ。これからも、JTは地域コミュニティーの一員として社会貢献活動を進めていく。

■壬寅に寄せて

 JTはたばこを売る会社だが、私は、豊かな時間、安らぎの時間といった「とき」を提供する会社だと思っている。東日本大震災の被災現場で、喫煙する人を撮った写真を見たことがある。絶望的な局面でも、たばこをくゆらせて、傷ついた心を癒やしているようだった。この写真を見た時、私は、この会社に入って良かったと実感した。JTのメッセージ「ひとのときを、想(おも)う」は、まさに私の気持ちでもある。

 昨年は、コロナの脅威が衰えず、緊急事態宣言が大阪で3度発令された。いわゆるコロナ災禍の試練が続いた。今年のえと「壬寅(みずのえとら)」は、厳しい冬を乗り越え、芽吹き始めるという意味がある。壬寅にふさわしく、未曽有の難局を乗り越え、夢と希望に満ちた新しい社会のスタートの1年にしたい。

つじ・あつお 1969年、滋賀県生まれ。滋賀大経済学部卒。92年にJT入社。南九州支社営業企画部長、東海支社営業企画部長、本社営業管理部長を歴任。2021年1月から現職。趣味はプロアメリカンフットボールリーグ(NFL)観戦。学生時代はアメフト部に所属し、ポジションはディフェンスタックルだった。小説もよく読む。「読書を通じ、気持ちを人に伝える表現力を磨いている」


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