Voice(ボイス)

 大阪を舞台に活躍している“旬な人物”にスポットを当てた大型インタビュー企画「Voice」。それぞれが抱く思いとは。今後の大阪や次世代へ贈るメッセージを語っていただく。

ウォーク・オブ・フェーム・ジャパン副社長 大森 淳平さん

2022年1月13日

ワクワクする場を 星形プレート設置構想奔走

ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームの中心に位置するチャイニーズシアター前=大森淳平さん提供

 米国ハリウッドのウォーク・オブ・フェーム(名声の歩道)を参考に、大阪の御堂筋を舞台とする映画スターやアニメキャラクターの星形プレート設置構想の実現に奔走中。「子どもたちがワクワクして来たくなる場所にしたい」と語るウォーク・オブ・フェーム・ジャパン副社長の大森淳平さん(33)にスポットを当てた。

■楽しい授業

 大阪大の外国語学部に入学すると同時に、進学塾で講師のアルバイトを始めた。小学生に対し、算数を単に教えるだけでなく、どんなアプローチをすれば、学習意欲が高まるかを考えた。教育の業界に興味を覚え、大阪大を中退、東京未来大のモチベーション行動科学部へ編入し、心理学を勉強することにした。

 人間は内発的な動機付けが無ければ本質的に変わらない。しかし、「将来の役に立つ」などと言葉や理屈を並べても、子どもの心に響かない。初めのうちは「ご褒美をあげる」といった外発的な動機付けであっても、その中にゲーム性などを盛り込み、「楽しさ」を感じさせることができれば、子どもの成長は早い。楽しければ、行動のモチベーションになる。

 その意味でも、私は「ピエロ」になって授業することにこだわった。丸い円が転がる時の中心部の動きを教える際、私は自ら転がって、頭の中心部の動きを子どもたちに見せようとした。「頭の中心部は真っすぐ動いたやろ」と説明すると、子どもたちから「真っすぐじゃない」と突っ込まれ、その場が盛り上がる。遊びとの境界が分からなくなれば、子どもの学習意欲は急に伸びる。

■プロジェクトに親和性

 東京未来大を卒業すると、アルバイト先だった進学塾の同僚、先輩と一緒に個別指導の学習塾を設立し、講師の仕事を続けた。ちょうどその頃、子どもの支援に取り組む一般社団法人「ホープ・トゥ・チルドレン」の藤田直希さん(50)との付き合いが始まった。ハリウッド商工会議所と交流のある藤田さんからウォーク・オブ・フェームの日本版プロジェクトを聞き、親和性を抱いた。

 そして、2021年7月7日に発足した株式会社「ウォーク・オブ・フェーム・ジャパン」(大阪市北区、横山敦社長)の副社長に就き、プロジェクトを事業化するための責任者になった。

 ハリウッドのウォーク・オブ・フェームは、映画、テレビ、音楽、ラジオ、舞台演劇のいずれかで顕著な功績を挙げた人物をたたえる歩道だ。テラゾータイル(人造大理石)と真ちゅう製の「星」が無料の公開セレモニーで披露され、星を授けられた本人とその友人たちが出席する。

 この星形プレートを獲得した有名人として、マイケル・ジャクソン、マリリン・モンロー、ミッキーマウスをはじめ、日本の三船敏郎やゴジラなどが顔をそろえる。

■未来に残る観光地へ

 日本での事業化に向け、私たちは企画書にこう記した。

  ×  ×  ×

 世界の観光地として名高いハリウッド・ウォーク・オブ・フェームを1960年から設立・管理しているハリウッド商工会議所と長年にわたり、当団体は公式な認定事業として日本で同じ事業ができないか交渉を重ねて参りました。2021年5月、ハリウッド商工会議所の会員と認定され、日本(大阪)を盛り上げる企画として大いに理解と協力を約束頂き、正式に日本での事業を公認する権利を頂きました。

 観光地のブランディング、地域創生、エンターテインメント業界への貢献事業として成功しているハリウッドの「Walk of Fame(ウォーク・オブ・フェーム)」のように、大阪の「御堂筋」でエンターテインメント界に貢献した方を顕彰する「Walk of Fame Japan(ウォーク・オブ・フェーム・ジャパン)」を創設する企画を進行中です。

  ×  ×  ×

 エンターテインメントといえば、日本では東京に集約されがちだが、国際都市大阪として未来に残る観光地を作りたい。

■構想と課題

 構想として、ウォーク・オブ・フェームの星形プレートにスマホをかざせば、関連の情報を読めたり、音楽を聴けるようなコンテンツを開発する。また、ハリウッドの名士たちが来日する際はイベントを開催するなど、「世界の大阪」として大阪を盛り上げる企画もたくさん考案している。

 本場ハリウッドのウォーク・オブ・フェームには毎年1千万人が訪れ、周辺の小売店、飲食店、映画館、ホテルなどの地域経済に影響を与えている。大阪でも同様の波及効果が期待できると思う。大阪城などと並ぶ大阪の「アイコン」的な存在になる。

 しかし、実現する上で課題は多い。御堂筋の公共施設を使用するため、行政の許可が必要であり、地域のまちづくりネットワークなどと協力したい。財源確保に向けた協賛も募り、今年のクリスマスの頃、星形プレートの第1弾設置にこぎ着けたい。

■今年の漢字

 私は、大阪市旭区の下町で育った。地元の千林商店街はダイエーの発祥地として知られ、にぎわっていた。私が学校から帰ると、商店街のおっちゃん、おばちゃんが声を掛けてくれた。しかし、往時の面影は薄れ、寂しさを覚える。だからこそ、子どもたちがワクワクして来たくなるような場を設けたい。

 自分の好きなアーティスト、スポーツ選手、漫画キャラクターに触れ合える場があれば、楽しい。先ほども話したが、楽しければ、行動のモチベーションになる。人の行動に働き掛けるものは、楽しいという感情だ。

 今年の抱負を漢字一文字で表すとすれば、「楽」になる。

 おおもり・じゅんぺい
 1988年、大阪市旭区生まれ。大阪星光学院中高校を経て大阪大外国語学部に進み、東京未来大モチベーション行動科学部(通信課程)に編入。東京未来大卒業後、個別指導の学習塾設立に関わり、現在はウォーク・オブ・フェーム・ジャパン副社長兼経営管理室長。独身。

 【日本版の特徴】
 ウォーク・オブ・フェーム日本版の特徴として、大森淳平さんらは、日本のエンターテインメント界の貢献者を顕彰する▽ハリウッドの運営手法を見習いながらイベントを企画する▽芸能、伝統文化、アニメ、漫画、映画のキャラクターなど世界発信できるエンターテインメント性の高いものも表彰の対象にする▽国際都市大阪として、観光地として盛り上げるため大阪市や地元の方々にもメリットがある企画にする▽持続可能な開発目標(SDGs)に寄与できる企画を取り入れる−の5点を挙げている。


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