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リソー教育グループの「名門会」(本社・東京都)が、医師を志す受験生のための予備校「 M E D I C 名門会」を大阪市北区に開設した。医学部を持つ国公立大が集積する関西圏の地域性を踏まえ、大阪進出した格好だ。新型コロナウイルス禍で医療への関心が一層高まる中、社長の吉田信司さん(60)は「医療現場で役に立ちたいけど、どう勉強していいか分からない。そんな受験生を本物の愛情で応援したい」と話す。「本物の愛情」を注ぐ吉田さんの言葉に耳を傾けた。
もともと、名門会所属のリソー教育は、創業者の岩佐実次会長が脱サラして1985年に東京都新宿区で設立した。日本教育公社が出発点だ。理想教育研究所(理想研)の呼称で学習塾を運営し、正社員講師が1クラス6人を限度に指導を開始。89年には家庭教師の事業も始めた。この家庭教師部門を担った組織が名門会であり、特に医学部受験に強いと評価を受けた。
そして、今年の春、完全1対1個別指導による医学部受験専門予備校としてMEDIC名門会の開設に至った。第1号の地に大阪を選んだのには訳がある。
国公立大医学部の数が関西圏は多い。関東圏は6大学だが、関西圏は8大学あり、医学部受験が盛んだ。この環境を踏まえ、名門会は今年3月にMEDIC名門会の大阪本部校を開設し、さらに、4月に神戸校を設置した。医学部合格に向けて全面的、徹底的にバックアップしていく。そのためにも、名門会医学部受験プロジェクトチームを編成している。教務担任の岩井健一さんらが戦略を立て、計画的な勉強をアドバイスしていく。
「すべては子どもたちの未来のために」がリソー教育グループの経営理念だ。偏差値の高い中学、高校、大学に合格し、進学したからといって、幸せが保証されるわけではない。受験指導を通して、人間として大事なものを教えるのがリソー教育グループだ。
いま、新型コロナ禍で医療従事者の厳しい状況が報じられている。ニュースを見て、医師を志す子どもが出てくるかもしれない。医療現場の役に立ちたいけど、どう勉強していいか分からない。そんな受験生を本物の愛情で応援したい。
指導者が真剣に教えていれば、受験生も真剣になる。受験に合格することだけに特化した学習指導を続けていても、医療業界は決して良くならない。私たちはそう考えている
その意味でも、渋沢栄一氏の著書『論語と算盤(そろばん)』は象徴的だ。利潤と道徳を調和させるという経済人がなすべき道を示したものだが、これはいわば普遍的な考えだ。利潤ばかりだと社会は良くならない。道徳を欠いてしまったら、社会は成り立たない。松下幸之助氏や稲盛和夫氏も同じような言葉を残している。
松下氏は「企業は存在することが社会にとって有益なのかどうかを世間大衆から問われていますが、それに答えるものが経営理念です」、稲盛氏は「物事をあるがままに見て、さらに自己犠牲を払ってでも成し遂げようという心構えができていれば、結局は克服できない問題などないのです」と語っている。
私はリソー教育グループの幹部研修に参加しながら、渋沢、松下、稲盛3氏の言葉を思い浮かべている。先ほど話した経営理念「すべては子どもたちの未来のために」に通じるものがあるからだ。
(※記者はここで、吉田さんの人となりに焦点を当てるインタビューに切り替えた)
実は、私は東京大を卒業後、家庭教師などをしていた。38歳で結婚し、リソー教育グループに入社したわけだが、今振り返ると、そこに至るまでの時間が私にとって大変貴重だった。
当時の日本社会は、バブル景気に沸いていた。東京・六本木は特ににぎやかだった。楽しく過ごすのは結構なことだが、それだけが人生ではなかろうと疑問に思うようになった。電車に乗っていると、サラリーマンのつまらなそうな表情が目に付いた。
この人たちを心底明るくしたい。生き生き働く社会にするためには何が必要かを考え、教育に目が向くようになった。精神文化を育てれば、子どもは必ず成長する。
MEDIC名門会の開校に際し、私はあるメディアのインタビューでこう答えた。
「本物の心で指導された経験によって、人を動かす本質が身に染みて分かると思うんですね。そして、それが実は医師になってから一番大事な能力になるのではないかと思っています」
「受験時代に本物の愛情を持って応援された経験は、生徒の心に『自分も人の役に立ちたい』という感情を芽生えさせます。これは理屈ではないんですね」
「本当に医師になって良かった、自分の使命はこれだったんだと思えるように成長してもらいたい、そんな思いでMEDIC名門会を作ります」
私は還暦を迎え、やりたいことが見えてきた。名門会の事業を成功させ、業界ナンバーワンになることだ。その際のインタビューの受け答えをイメージしている。
インタビュアーに「独り勝ちですね、秘訣(ひけつ)は何ですか」と聴かれたとき、「心です」と迷わず答えるつもりだ。
先ほど紹介した稲盛氏はこうも言っている。
「よりよい仕事をしていくためには自分だけのことを考えて判断するのではなく、周りの人のことを考え、思いやりに満ちた『利他の心』に立って判断すべきです」と。
私が言う「本物の愛情」は、このことです。
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