Voice(ボイス)

 大阪を舞台に活躍している“旬な人物”にスポットを当てた大型インタビュー企画「Voice」。それぞれが抱く思いとは。今後の大阪や次世代へ贈るメッセージを語っていただく。

シェリバレエスクール主宰 春田 琴栄さん

2022年6月22日

大人バレエを推進 「一緒に夢を叶えよう」

大人バレエを指導する春田さん(手前左)=シェリバレエスクール提供
発表会に臨む現役時の春田さん=シェリバレエスクール提供

 黒木瞳さん主演のテレビドラマ『プリマダム』は、バレエ教室に通う主婦たちが生きがいを見つける物語。「大人からのバレエ」ブームを背景に2006年に放映され、熱気は今も続いている。大阪市内で発表会を開催するなど大人バレエを推進するシェリバレエスクール主宰の春田琴栄さん(35)にインタビューすると、「一緒に夢を叶(かな)えてみませんか」と返ってきた。

■誰もがプリマ

 バレエをやりたいと思っていた40〜50代の人たちがバレエを習い始める傾向は今も続いている。例えば、子どもの頃に習っていたけど、家庭の事情などでやめたものの、バレエの魅力を忘れることができずに再開するケースもある。『プリマダム』も大人バレエブームを後押ししたと思う。

 私は14年に大阪・本町を拠点にバレエスクールを設立した。ブログで情報発信したところ、1年間で200人が集まった。今でも、多方面から生徒さんが習いに来てくれており、東京でもバレエスクールを開講した。

 以前、私はニューヨークのバレエスタジオでレッスンしたことがある。バレエダンサーのヴラジーミル・マラーホフさん(ウクライナ出身)、ディアナ・ヴィシニョーワさん(ロシア出身)、ジュリー・ケントさん(米国出身)ら大スターが来ていて、その横にはバレエダンサーを目指す若者だけでなく、バレエの初心者やバレエ好きなおじいちゃん、おばあちゃんもいた。

 上手、下手は関係ない。誰でもバレエを始めていいし、プリマ(主役の意味)を目指していい。楽しく、自由な雰囲気をニューヨークのスタジオで感じた。

 本来、バレエは体を動かすことで、肉体美を表現する。表現力、テクニックが常に求められるため、終わりがない。足の動きだけではなく、手や顔の動きの上達も目指す。舞台は華やかだけど、ひたすら練習するので、バレエダンサーは地味だ。でも、人間的に強くなれる。成長するのは間違いない。

■刺激受けた留学体験

 私自身、3歳からクラシックバレエを始めた。姉がバレエスクールで学ぶ姿を見て、まねしたくなったのがきっかけ。私は鹿児島生まれだけど、父親の仕事の関係で東京、福岡へ移り住み、幼稚園の年長になった頃に大阪の吹田市に引っ越して来た。小学2年からは高石市で暮らし、地元の小、中、高校に通った。高校生の頃、ワシントンやボストンのバレエ学校へ短期留学する機会に恵まれ、そこでの生活や練習に刺激を受けた。

 毎日朝から晩までバレエに没頭でき、広いスタジオで同い年の海外の仲間とレッスンできるのが楽しくて仕方なかった。一度もホームシックにかからなかった。上手な生徒がいっぱいで、世界は広いと実感した。もっと上手にならないといけないと思った。

 その後、長期の留学を希望し、現地のバレエ学校の許可を得たけど、日本のバレエスクールの恩師に反対され、泣く泣く断念。反対を押し切ってでも行けば良かったと今でも後悔している。そこまでの覚悟があれば、当時の恩師も認めてくれていたかもしれない。

 高校を卒業してからも、アルバイトをしながらバレエを続けたが、それほど裕福な家庭ではなかったので、バレエをやめた。バレエに対する情熱がどんどん冷めていったと思う。会社員になって働くことにした。就職先は女性専用フィットネスジム。上を目指したく、そこの店長になろうと決意した。でも、1年もたたないうちにバレエへの思いがあふれてきて、会社を辞めた。ただ、バレエの世界一筋にやってきた自分にとって、この頃の社会人経験は、現在の会社経営に役立っている。

■明るく、楽しく、美しく

 バレエダンサーとして活動する中、指導にもまい進した。朝から晩まで自分のトレーニングと指導に走り回った。バレエで生計を立てることに強いこだわりがあった。先ほど話した通り、14年9月、大阪・本町のレンタルスタジオを拠点に春田琴栄バレエスクールを設立。18年7月に大阪・堀江に独立したスタジオを構え、10月には運営会社の「CHERIE(シェリ)」を立ち上げた。

 春田琴栄バレエスクールという個人名を使うのはやめ、シェリバレエスクールに改めた。個人プレーではなく、みんなで助け合って、一人ではできない大きな成功を目指したい思いを込めた。「CHERIE」はフランス語で、愛する子どもや恋人の名前の前に付ける愛称のこと。「明るく、楽しく、美しく、みんなの夢をかなえる空間」がCHERIEの理念だ。

 私には、CHERIEをバレエ界初の上場企業にする目標がある。CHERIEにはバレエダンサーの垂口陸さんや大人バレエ部門のスタジオ責任者を任せている篠山結衣さんら優秀なスタッフがいる。バレエだけで生計を立てられる環境をつくり、バレエをもっとメジャーにしていきたい。

■トップダンサー集結

 米国映画『フットルース』や『タイタニック』を手掛けた振付家のリン・テイラー・コーベット氏の代表作『ガチョーク讃歌(さんか)』の公演を、8月8、9の両日に大阪国際交流センター(大阪市天王寺区)で開催する。日本のバレエ界をけん引するダンサーの佐々木大氏をバレエダンサーとして迎える。このプロジェクトは、昨年1月に続いて2回目。街のバレエ教室が米国の著名な振付家の許可を得て、日本のトップダンサーを集めて行うことが注目されている。

 バレエに興味がある大人も、子どももぜひ見に来てほしい。バレエの魅力に触れてほしい。

 一緒に、夢を叶えてみませんか?

はるた・ことえ
 1987年、鹿児島県生まれ。父親の仕事の関係で、東京、福岡、大阪で育つ。大阪府立高石高卒。2014年に春田琴栄バレエスクール設立、18年7月に堀江スタジオ開設、同10月に運営会社「CHERIE(シェリ)」創業。心斎橋にバレエショップを構え、今年7月には東京・南青山にもオープンする。好きな言葉は「一生懸命」(ひたすら前を向いて努力し続けたい)、「猪突(ちょとつ)猛進」(脇目も降らず、ひたすら突き進み、進化していきたい)、「他力本願」(人に助けられてばかりの人生なので、人の力の素晴らしさを常々身に染みている)。


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