亀井澄夫の妖怪不思議千一夜

吹田市南吹田および西の庄町

2019年1月14日

ツチノコみたいな 太い首が追ってくる

「熱い熱い、助けてくれ〜」(イラスト(c)合間太郎)

 吹田の西の庄に力持ちの太左衛門という男がいて、飯がたらふく食えるというので、新田まで行って草刈りを引き受けた。両手に鎌を持ちザクザク草を刈っていく様は、まるで現代の草刈り機のよう。その勢いがすごいので草だけでなく、なんでもなぎ倒していく。

 と、そのとき、なんだかいやな手応えがあった。見ると大きなヘビの首をスパッと切り落としていたのだ。その死にざまは目玉をむいて舌をだらりとたらし、不気味なことこの上ない。

 なんだか続ける気をなくし、もう帰ろうと振り返ると背中にズシリと重みを感じた。見るとその大蛇の首が肩に乗っている。ひっつかんで道にたたきつけて帰ったが、高熱が出て布団にもぐり込んだ。

 しばらくすると、やたらに布団が重い。見ると大蛇の首が上に乗っている。首が丸々と太って、まるで枕のようだ。あわててふとんを蹴り飛ばし、一目散に近くの寺へと駆け込んだ。

 事情を話すと寺男が釣り鐘を下ろしてくれて、その中でじっとしていたが、追ってきた大蛇の首は口から火を吹き、鐘を真っ赤に焼きつくしてしまったのだ。太左衛門はかわいそうに、中でむし焼きになった…というお話。

 まるで道成寺の安珍清姫のような結末だが、この話は「新田の蛇(じゃ)まくら」と言い、吹田の民話として複数バージョンがある。蛇の首は、形状と動きからしてツチノコみたいだ。

 また、田んぼの危険な所を蛇まくらと言ったそうなので、子どもらに近づかないよう教えるためのお話かもしれない。ちなみに「ヘビまくら」はケシ科の植物、ムラサキケマンのことでもある。まあ、関係ないかな。 (日本妖怪研究所所長)


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