亀井澄夫の妖精・妖怪世界の旅

ペガサス(ギリシア)

2020年6月29日

乗り手は謙虚さを失わぬこと

天馬、大空を駆ける!(イラスト(C)合間太郎)

 髪の毛が蛇の怪物メデューサが退治されたとき、すでにメデューサは海神ポセイドンの子を身ごもっており、切り落とされた首の鮮血から生まれたのが、その子、ペガサスだ。コリントスの王子ベレロポンは、翼が生えた白馬ペガサスの美しい姿に魅了され「乗ってみたい」と神殿で祈っていると、女神アテナが現れ「ピレーネの泉に行きなさい」と告げる。行ってみるとペガサスが水を飲んでいる。彼はアテナの助力によって、ペガサスを調教することができた。

 しかしその後、ベレロポンは無実の罪で国を追われ、プロイトス王の元で暮らすようになった。彼は美男子で、国民も王妃も彼に夢中。となるとプロイトス王はベレロポンが気に入らない。そんなとき王の義理の弟イオバテスから「怪物キメラが暴れるので、誰か退治してくれないか」という手紙が届く。

 プロイトスは喜んで、ベレロポンをイオバテスの元へ「もしベレロポンがキメラを倒しても、彼を殺してくれ」という手紙を持たせて向かわせた。キメラは、頭はライオン、体はヤギ、尻尾は蛇という怪物だが、彼とペガサスの活躍で倒した。イオバテスは以後、彼を殺す策略を何度も仕掛けるのだが、どれも失敗。最後は彼を恐れて、自分の娘を結婚させ、王位までゆずってしまうのだ。

 さて、ここまでは順調だったが、何事もおごりや増長はいけません。ベレロポンはだんだんとうぬぼれが強くなり、神のように偉くなろうと天を目指して駆け登ったが、そのおごりが全能の神ゼウスの怒りに触れ、ゼウスが放った一匹のアブがペガサスをチクリと刺し、ペガサスが驚いてベレロポンを振り落として、一巻の終わりとなる。

 現在、ペガサスを社名にしている企業は多い。しかしペガサスは、人がおごり高ぶることを嫌うので、経営努力には謙虚さが必要。そうでないと、社名のペガサスに振り落とされてしまう。絵画にもさまざまに描かれ、映画やドラマにもよく登場する美しい天馬である。

 (日本妖怪研究所所長)



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