亀井澄夫の妖精・妖怪世界の旅

アバドン(イスラエル近辺)

2020年8月10日

奈落の天使、イナゴの悪魔登場

破壊の王、大軍を率いて奈落より登場(イラスト(C)合間太郎)

 その大群はケニアより発し、1日180万トンの作物を食い荒らし、中東のイエメンを経てパキスタンに到達。まだまだ勢力を伸ばす勢いだ。何のことかというと、報道でも見られたと思うが、バッタそしてイナゴの大群のことである。

 このような事態は古代よりあったようで、『新約聖書』のヨハネの黙示録第9章にこんな記述がある。「第五の天使がラッパを吹き鳴らすと、一つの星が天より落ち、底知れぬ所にある穴を開く鍵がその星に与えられた。穴からは煙が立ちのぼり、太陽も空気も暗くなり、煙の中からサソリの力を持ったイナゴが地上に出てきた」

 このイナゴが今回の「アバドン」である。聖書にはアバドンの姿が克明に記されている。「頭には金の冠をつけ、その顔は人のように見え、髪の毛は女の髪のようである。その歯は獅子のようで胸には鉄の胸当てを付けている。羽の音は馬に引かれる戦車の響きのようだ」

 そしてアバドンはサソリの尾と針を持ち、尾には5カ月の間、人を苦しめることを許された力が宿っている。しかし、害を与えるのは額に神の刻印を持っていない者に限られる。彼の名はギリシャ語ではアポルオン(破壊者)と言う。その名は零落した太陽神アポロンから来ているとも言われる。

 最近ではサバクトビバッタが大量発生し、まるで変身する怪物のように体の色を変え、飛ぶ能力も高くなって大群で移動する。黙示録で描かれたアバドンは今、イナゴとサバクトビバッタの軍を率いて世界を食い尽くそうとしているのか。これはもう、聖書からウルトラQの世界だ。

 また、アバドンは「サタンよりひどくない害悪を与える」とも言われている。ならばこの後に大御所登場!となるのかな。いやだけど、今の世の動きは注目に値する。2020年という年は、あと何十年たっても覚えている年になりそうだ。

 (日本妖怪研究所所長)



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