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なんかようかい?「水の妖怪ヴォジャノイ」(イラスト(C)合間太郎) |
「ロシアの河童(かっぱ)」と言われる妖怪がいる。ヴォジャノイである。たいていはじいさんの姿で、全身藻に包まれ、顔はむくみ、頭もはげている。見た目は河童と似ても似つかないが、馬を川に引き込む、腕は抜けやすい、夏は川、冬は山で暮らすという特徴は類似している。
彼は川のヌシなので、自分が治めている川を歩いて見て回る。川面には彼の帽子がプカプカ浮きながらついて行く。ある日、その帽子を船の人足たちが取ろうとすると、船頭が「取るな! 悪いことが起こるぞ」と警告するが、人足はかまわず帽子を取ってしまう。するとその下から大男がぬっと現れ、「川の見回りを邪魔するのか。今日のところは船頭に免じて許してやるが、今度やったら船を沈めるぞ!」と言って水中にもぐり、川底を歩き、帽子もプカプカついて流れて行ったという。
またヴォジャノイは神のような存在で、ささげ物をして上手につきあうと、その周辺は守られ水難事故もなくなるという。
ロシアでは季節ごとに人形を村落に迎え入れ、丁重にお祀(まつ)りし、期間が過ぎれば川に流し異界へと返すという風習がある。これは季節を順調に回転させるために必要な儀式なのだ。春の到来となれば地の祖霊を迎え、親しみを込めて接し、その季節が過ぎれば感謝を込めて帰し、次の祖霊(人形)をお迎えする。これは春の女神、夏の女神など季節の神々なのである。こうして季節が順調に巡り、村には豊作がもたらされる。
日本ではどうも「人形(ひとがた)」「お祈り」「川流し」となると、実話怪談で頭が固まった人は、すぐに人身御供を連想する。なんでも怖い方へと持っていくのだ。「昔はこの川に人身御供をささげたんだろう」と、短絡的に何の検証もなしにしたり顔で言うのである。実際は他に選択肢を知らないだけで、人形がまるで神やお化けのいけにえのように言う。
今は季節の神と暮らすという概念すらなくなったのかもしれないが、川の妖怪も、人を襲うばかりではないのである。 (日本妖怪研究所所長)
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