亀井澄夫の妖精・妖怪世界の旅

ブギーマン(ヨーロッパなど各国)

2021年11月1日

子ども部屋の闇にひそむ

「きゃ〜」「寝ない子は誰だ〜」(イラスト(C)合間太郎)

 日本でも「寝ない子にはお化けが来るよ」と、しつけのために化け物を利用することはよくある。それが鬼だったり幽霊だったりするのだが、外国の場合、圧倒的に用いられるのは「ブギーマン」だ。

 寝室のドアのうしろやクローゼットの中、戸の隙間からのぞいていたりする。ベッドの下の暗闇もブギーマンのすみかで、オランダでは水の下に隠れている。

 知っているだけでも、イギリスの「オールド・ボニー」、ドイツの「黒い男」、スコットランドの「ボグル」、スペインの「エル・クコ」は、言うことをきかない子どもを食べてしまうし、イランの「ルル・コルコレ」は、すべてを食べ尽くすブギーマンとして知られる。

 他にアイルランドやスウェーデンにも類似したお化けがいるが、ほぼ決まって、子どものしつけ役なのだ。

 映画にその名もズバリ「ブギーマン」という人気シリースがあるが、これはしつけどころか、現実的に殺しにやってくる殺人鬼である。映画「ハロウィン」のブギーマンもそうだ。

 ドイツの黒い男は長身で「ウオモ・ネロ」と呼ばれ、黒いコートに黒い帽子かフードを身に着けている。「スープを飲まない子はウオモ・ネロが連れて行っちゃうよ」と言う。

 爪をかんだり親指を吸ったり、落ち着きのない子どもにもブギーマンはやってくる。スウェーデンでは具体的に「ベッドの下の怪物」と言い、イギリス人は、ナポレオンにつけたあだ名が「ブギーマン」と言うから、よほどナポレオンが怖かったんだろう。

 今の子どもたちでも、お化けを怖がって親の言いつけを守る子はいる。まあ、お化けの情報は親より子どもの方がよく知っていそうだから、「お母さんのうしろに誰かいるよ」なんて子どもに言われたら、親のほうが眠れなくなりそうだ。(日本妖怪研究所所長)



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