亀井澄夫の妖精・妖怪世界の旅

ジン(イラク)

2022年2月15日

アラジン、実は中国人!

「なつかしの魔女ジニーちゃん登場!」(イラスト(C)合間太郎)

 アラビアの魔神「ジン」の中で最も有名なのは、ディズニーの「アラジン」に登場するジーニーだろう。だが、この話、一般には「アラビアンナイト 千夜一夜物語」の中の一編と思われているが、元のアラビアンナイトには収められておらず、最も読まれているバートン版でも別巻扱いで、シェヘラザードが語る千一話の中にないのである。

 9世紀に書かれた最古のアラビアンナイトの写本には、もともと二百数十話しかなく、それをアントワーヌ・ガランが、アラビア語からフランス語に翻訳し、少し話を付け足して18世紀に出版し、大ヒットした。その付け足しの中に、この「アラジン」もあったのだ。でも元は中国の話で、アラジンも中国人だったのである。写本は「千の夜の物語の書」というタイトルなので、後の翻訳者が、あちこちから収集して千一話にしたのだ。

 さて、ジン自体はアラビアンナイトに度々登場する。有名な「空飛ぶ絨毯(じゅうたん)」にも妖精パリ・バヌーの手下という役割で、「商人と魔神の物語」や、その他多くの話に出てくる。ジンには階級があり邪悪なものから列挙すると、マリード、イフリート、シャイターン、ジン、ジャーンの順になるが、総称としてジンと呼ぶことが多い。

 特徴としては壺(つぼ)や瓶に閉じ込められ、こすると出てきて願い事をかなえたり、こすった人を殺そうとしたり、仕えたりする。ジンは複数形名詞で、単数の男性はジンニー、女性はジンニーヤと言うこともある。この名から、私と同年代の方ならドラマ「かわいい魔女ジニー」を思い出せると思う。ご主人に「ト〜ノ〜(殿)」と言いながら、願い事をかなえる美女のコメディーだ。

 実は現在「アラビアンナイト・ロマンス」というライブを計画中で、歌い手にジニーと同じ衣装でステージに立ってもらい、私は怪しいアラブ人になって伴奏する。コロナが収束次第開始するので、今回のイラストも、ジンじゃなくてジニーにしてもらった。

 (日本妖怪研究所所長)



サイト内検索