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「強大な力と知性を併せ持つアモン」(イラスト(C)合間太郎) |
今回はソロモン王に仕えていた72の悪魔のうち、実力と長い歴史を誇るアモンである。地獄の大公爵と言われ、体はオオカミ、尾は蛇、頭はフクロウに似て、くちばしの中は鋭いキバがずらりと並んでいる。悪魔の中でも最も強靭(きょうじん)と言われ、四十もの軍団を率いる猛将である。アモンは文才もあり、ソロモン王に呼び出される際、多くの詩を披露したと言われている。過去と未来を占うことができ、仲が悪くなった友人同士の仲裁も行う。
また、本来はエジプトのナイル川の東岸テーベ地方で、豊穣(ほうじょう)の神としてあがめられていたとも言われ、首都がテーベに移ったことにより、主たる神、太陽神ラーと結びつき、「アモン・ラー」の名で影響力を持つようになった。歴代のファラオもアモンを崇拝し、アモン神は社会の中に浸透していったのだ。
しかし、エジプト文明が終わりを告げると、かつての神を悪魔に引きずり降ろすのは、キリスト教のお家芸である。羊や人の姿のアモン神から、醜悪な悪魔アモンに変えることなど朝めし前だったのだ。
語源の話をすると、エジプトのアモン像は羊の姿をしているが、そのツノの曲がり方が似ているところから、アンモナイトの名前になったと言われている。またアンモニアも、ローマ人が採取した場所がアモン神殿の近くだったことから、アンモニアと名付けられた。
マンガ好きの方なら「アモン」と聞くと、永井豪のマンガ『デビルマン』を思い出すかもしれない。主人公、不動明に憑依する魔物がアモンで、その人との合体がデビルマンとなる。永井豪も、実力ではルシファーに引けを取らず、人間の姿になると格好もよく、その上、超自然の存在として申し分ない経歴のアモンを選んだのではないかと思う。
ルシファー軍国の中でも長年崇拝の対象となった異色の魔物、それがアモンである。(日本妖怪研究所所長)
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