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伝統的なロキの人相。そっくりなのが遺跡などにも刻まれている(イラスト(C)合間太郎) |
ロキは「トリックスター」と呼ばれる。トリックスターとは、いたずら者でホラかうそしか言わず、男にも女にもなり、無秩序を体現したような人物だ。彼によって社会はかき乱され変化していく。良い意味では社会を活性化させるのだが、トリックスター自身は利己的で、人のために尽くすとか、社会を良くするとか、そんな意識はさらさらない。
さて、今回はそんなロキである。北欧神話では火の神であり、神と言いつつ生まれは巨人族である。最初はいたずら者という程度だったが、雷神トールの妻シヴの頭を丸坊主にしたり、神々の王オーディンの息子バルドルを殺害するにいたっては、もはや道化ではすまなくなり、神々から罰を与えられる。時とともにどんどん邪悪さが増していったのだ。
ロキは氷の牢獄で、顔の上にヘビの口からしたたる毒がかかるようにつながれ、彼の妻シギュンが毒液を器で受け止める。だが、器がいっぱいになると捨てに行くので、その間は毒が顔にかかってしまい、苦痛に耐え切れず、身もだえすると地上で大地震が起こる。ラグナロク(最終戦争)の前兆で、冬が3年も続き、太陽と月が巨大なオオカミに飲み込まれ、世界は真っ暗になる。大きな地震も起こり地面がゆれ、そのせいで、ロキの鎖がはじけ飛び、ロキは自由の身となる。世界はラグナロクへと突入し、終焉(しゅうえん)を迎える。
ロキは巨人族として魔物を従え、神々に戦いを挑むが、結果は巨人も神も死に、大地は洪水と大火によって浄化され、新たな世界が誕生する。
ゲーム世代の方ならすでに、ロキやオーディン、トールにフレイヤなど北欧キャラに親しんでいると思う。映画「アベンジャーズ」に登場するロキは、ラッカムやニールセンが描くロキにそっくりで、よくあんなアゴのとがった似た役者を探してきたもんだと感心する。「アベンジャーズ」にはトールも登場し、北欧神話が重要な要素になっているのだ。
(日本妖怪研究所所長)
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