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カラーでお見せできないのが悩ましい、極彩色の天馬(イラスト?合間太郎) |
「予言者」と「預言者」は異なる。前者は未来のことを口にして「言う」者。後者は神の言葉を「預る」者である。預言者の代表格はキリストとイスラム教のムハンマドであろう。天使ガブリエルは、ユダヤ教でもキリスト教でもイスラム教でも重要な大天使だ。そのガブリエルが、ムハンマドをエルサレムに連れて行くが、ガブリエルが接する預言者はキリスト以来、すでに600年が経過していた。
さて、ムハンマドを乗せたのが稲妻を意味する天馬「ブラーク」である。そのときブラークは動物がよくやる「イヤイヤ」と、頭を左右に振ったらしい。ガブリエルは「はずかしがることはない、ムハンマドは高貴な預言者なのだ」と言って納得させた。ブラークは600年もの預言者不在期間が長すぎて、乗せ方がわからなかったとも言われている。
また、ムハンマドとブラークが天に昇って神アッラーに会い、天国や地獄を旅する物語もあれば、ブラークはずっと岩のドームの「嘆きの壁」(西の壁)につながれたままだったとも言われる。壁は「アル・ブラークの壁」と、その名で呼ばれることもある。
ブラークは極彩色で、女性の上半身とロバが合体した姿で描かれる。孔雀の羽で空を飛び、冠の羽飾りも尾も孔雀である。羽にはイスラムで魔よけとして用いられる「眼」が多数付いている。背は無人の場合もあるが「預言者の昇天」と題し、ぼやかしてムハンマドの姿が描かれることもある。それは、イスラム教が預言者を絵に描いたりする偶像崇拝を厳格に禁止しているからだ。
また、ブラークの天翔けるスピードも注目に値する。天界に旅立つ前、水の入ったポットが倒れかけるが倒れきるまでに帰ったので、こぼれることなく受け止めたらしい。これは足が早いと言うより、時空を超えて移動しているのだろう。
預言者専用天馬、ブラーク。キリストとムハンマド以降、きっとヒマだろうなぁ…。
(日本妖怪研究所所長)
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