亀井澄夫の妖精・妖怪世界の旅

ノッカー(イギリス/コーンウォール地方)

2022年7月4日

働き者の妖精を見習おう

常に小さなハンマーを持っているノッカー(イラスト(C)合間太郎)

 鉱山で働く妖精の一種で、岩を叩(たた)く(ノックする)「コツコツ」という音から「ノッカー」と呼ばれる。良い鉱脈のありかを知っていて、気に入った人間には教えてくれる。

 そのことを聞いた怠け者のバーカーは「ノッカーなら宝物をたくさん持っているだろう」と、怠け者のくせにノッカーの出てきそうな穴を、毎日、一生懸命探してまわった。

 ある日、小さな坑道にノッカーが入っていくのを見たバーカーが、茂みに隠れて待っていると、仕事を終えたノッカーたちが出てきて「今日は道具袋をどこに隠そうか」と言うので、「宝物もきっとそこに隠すにちがいない」とバーカーは思わずつぶやいた。1人目が「シダの茂みに隠そう」と言い、2人目が「岩の割れ目に隠そう」と言うのを聞いて、忘れないよう小声で「1人目がシダの茂みだな。こいつは岩の割れ目」とつぶやいた。

 すると3人目のノッカーが近づいてきて、「俺はバーカーの膝の上に置こう」と言い、見えない道具袋をドサリとバーカーの膝の上に置いた。おかげでバーカーの足はそれ以来、動かなくなってしまった。コーンウォール地方では、リウマチで膝が動かなくなると「バーカーの膝みたいになった」と言うそうである。

 こういう地下の妖精たちは、実によく働く。白雪姫の7人の小人も働き者のドワーフだし、土の精ノームや、ドイツの鉱山妖精コボルトも働き者だ。ウェールズ地方のコブラナイは、鉱石が多く含まれている層に案内もしてくれる。

 彼らは岩盤に発破をかけたり、ピッケルで岩を砕いたり、シャベルで掘り出したり、鉱石をふるい分けたりする。また、坑道内で落石などの危険を察知すると、あちこちで「コツコツ」と壁を叩いて知らせてくれる。とにかく、まじめにそれこそ「コツコツ」働くことを、ノッカーなどの地下妖精は教えてくれるのである。(日本妖怪研究所所長)




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