岡力の「のぞき見雑記帳」

「お好み焼三代 大阪ぼてぢゅう物語」書籍化

2019年12月10日

老舗の味に秘められた思い

書籍を手にする宮原寿夫社長(左)と中島宏幸さん(右)

 お好み焼きの名店「大阪ぼてぢゅう」の過去、現代、未来がわかる漫画本「お好み焼三代 大阪ぼてぢゅう物語」(中島宏幸・高瀬甚太著・満天堂)が今秋に出版された。創業以来、受け継がれてきたお好み焼きに対するこだわり…その歴史がギュっと詰まった一冊である。「成功物語を書く気など毛頭ありませんでした。ただ、食の街、大阪で根を張り頑張ってきた記録を知っていただきたい」と社長の宮原寿夫さんは語る。

 戦後、西成区玉出にあった「お好み焼・ぼてぢゅう」を先代の宮原勝一さんが訪れるところから物語は始まる。実業家として鉄工所、ホテル、不動産など多岐にわたり展開していた先代は、店内で喜ぶ子どもの顔を見て事業化を店主に提案する。結果、昭和28年大阪ミナミの宗右衛門に「大阪ぼてぢゅう」が誕生する。「食を制する者が大阪を制する」の言葉どおりステーキハウスさながらの店舗形態がズバリと当たり店は大繁盛。

 だが、全てが順調だったわけではない。同名店舗が現れ商標登録を巡り10年続いた「ぼてぢゅう争議」が勃発(現在、裁判所の和解勧告で結審)。さまざまな苦難を乗り越え二代目にその意志は受け継がれる。店舗を増やし利益を上げる事に重点を置かず「老舗の味」を守る事に目を向け客との絆を強めていく二代目。組合を介し積極的に他店と交流を図り、巨大お好み焼きのギネスブック認定や東日本大震災の炊き出しにも参加する。

 物語の最後には三代目の宮原義男さんが登場し「どなたの口にも合う喜ばれる味を作りだす事が私たちに課せられた使命だと思っています」と語り締めくくっている。漫画はイメージキャラクター「ぼてぼん」を手掛けた中島宏幸さんがあたたかくユーモラスなタッチで描いている。なお、書籍は店舗やインターネット書籍販売で購入できる。原稿を書いているとお好み焼きの口になってきたので、ミナミへ繰り出す事にします。

 (コラムニスト)



サイト内検索